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293話 硬直状態。

更新遅くなりました。すみません。

 

 そしてエリーゼたちは作戦を練る。

 攻撃はエリーゼ、防御はフーシュであることに変更はない。というか変更できない。魔剣を持っているのはエリーゼだけであるし、フーシュは盾装備だけだからだ。

 そうなるとタマユラがどう関わってくるかだ。タマユラも魔族に有効な攻撃手段は持っていない。できるのは視界を遮る支援だけだ。




 そしてである。

 相手が通常であればエリーゼの気配察知でかなり細かく探知することができる。だが魔族、しかも中級となると気配の消し方が巧みで正確に捉えるのは難しい。

 そのことで別の作戦が必要となるのだ。




「タマユラは霧を自在に操れるのよね?」




「そうじゃのう。広くする狭くする濃くする薄くする、なんでもできるぞう」




 タマユラは霧を生み出せる。そしてその範囲と濃度を自由に操作できるのだ。そのことである作戦が可能になった。

 それはひたすらダリドーンの視界を封じることであった。ただし相手は中級魔族だ。本来であれば顔面にだけ濃霧を発生させて完全に視界を奪う方法がいちばんなのであるが、相手のレジストの能力が高いので見えづらくするのが精一杯である。




「前にマキラと試した濃縮魔法は使えないのかしら?」




「使えるが時間がかかるのう。その間に攻撃される可能性が高いのじゃ」




 濃縮魔法であれば確実に中級魔族の視界は奪える。だが数分間、おそらく5分間は魔力を集中しなければならない。

 その間に霧をすべて解除するのはあまりにも危険なのである。




「ならば相手が攻撃に入るときに霧を薄くすればギリギリまで近寄れるわよね」




「そうだね。敵があたいたちに狙いを定めるときに見えなくしてくれれば躱せるね」




「なるほど。わかったのじゃ。じゃあ徐々に薄くするぞい」




 そしてタマユラは霧の調整を始めた。今は全体的に濃い状態だがゆっくりと薄くし始めたのである。

 すると今まで白い霧に埋もれていた数々のものの輪郭が明らかになりシルエットとして浮かび上がる。

 家屋、樹木、……そして魔族。




「どうやら、仲間と合流できたようですね。それでは――」




 ダリドーンから再び黒い炎の塊が多数発射された。こちらの目標が3つになったので数も増やしたようである。




「来るわ!」




「厄介だね!」




「なるほどのう……」




 タマユラが感心したように迫りくる黒い炎たちを見て呟いた。そしてその後一瞬で周囲は濃霧になる。

 すると目標を見失った炎はそれぞれ明後日の方角へと飛び去って行くのであった。




「やはり視認できないと攻撃できないようね」




「そうだね。……でもそれはあたいたちも同じ」




「そうじゃのう。工夫でもするかのう」




 今の攻撃でダリドーンの現在位置はわかった。なのでその周囲だけ霧を濃厚に展開して近づく作戦を行うことが話し合われた。

 ただしダリドーンも動いている可能性があるので、この作戦は絶対ではない。だが他に方策も浮かばないことから試してみることになった。




「では行くぞ」




 タマユラがそう宣言して自分たちの周囲の霧を薄くする。するとそれまでシルエットだけだった互いの姿が視認できるようになった。

 そしてそのまま移動を開始する。そして先ほどダリドーンがいた地点付近に来ると立ち止まるのであった。




 そしてエリーゼとタマユラが互いを見て頷く。言葉は使えないので視線で合図を送ったのだ。

 そこでタマユラが霧を操作する。すると前方の霧が徐々に薄くなるのがわかる。家屋、樹木のシルエットがボウッと霧の中に浮かび上がる。

 そして――。




「シッ――!」




 エリーゼが地を蹴った。薄くなった霧の中で一瞬ダリドーンのシルエットが浮かんだからだ。

 そこで抜剣したエリーゼが一足飛びで心臓を狙って攻撃に入ったのだ。




 ――ガキンッ!




 だが、弾かれた。

 ダリドーンも薄くなった霧の中から飛んでくるエリーゼの姿を捉えたのだ。そして細剣で攻撃を弾いたのであった。




「来るわ。霧を濃くして!」




 攻撃が弾かれたことでエリーゼは避難してきた。そしてそれは正解でエリーゼの背後から黒い炎が次々と発射されたからだ。

 だが、タマユラが霧を濃くしたことでエリーゼたちの姿は濃霧に包まれた。そのことで炎の弾は目標を見失い地に落ちるのであった。




「……この作戦、うまくいかなかったね。ヤツもあたいたちの気配がわかるのだろうね」



「そうね。ただ私たちの正確な位置はわかっていないと思うわ」




「なるほどのう。だからこちらの姿が見えたときだけ攻撃してくるんじゃのう」




 事態はわかった。

 こちらだけでなく敵側もこちらの正確な位置は掴めていない。だが、これは硬直状態であることを意味した。

 タマユラの能力で一方的に攻撃されない状況は作ることができたが、こちらも霧を薄くしないと相手が見えないからだ。




「もう一枚、なにか手が欲しいわね」



 エリーゼの言葉には渇望が濃厚に含まれていた。この事態を打開するためにもうひとつ手段が必要なのだ。

 そんなときだった。




「良かったですっ。合流できましたっ」




 聞き馴染みのある声がエリーゼ、タマユラ、フーシュの3人にかけられたのであった。

 見ると霧の中からフララランが姿を現したのだ。




「フラララン! あなたひとりなの?」




「そうですっ。気がついたら森の中で霧に包まれていたのですっ。この霧はタマユラの霧だとすぐにわかりましたっ」




 どうやらフララランは異空間に飛ばされたのはつい今しがたのようだった。意識を取り戻したのもついさっきでいきなり霧の中だったと説明されるのであった。


フララランも合流したのです。(`・ω・´)∩


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。

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