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292話 タマユラの参戦。

更新遅くなりました。すみません。


がんばります。

 

「相手は中級魔族。油断できないよ」




「ええ。そうね」




 そうであった。

 エリーゼは魔族を倒した経験は確かにある。だがそれは下級魔族だけなのだ。中級相手を討伐した経験はない。

 だが、弱点は同じなのだ。そして手には魔剣がある。なので不可能ではないとエリーゼは判断した。




「……シッ!」




 強い呼気を漏らしてエリーゼは地を蹴った。

 そして瞬時にダリドーンへと肉薄する。狙いはまずは首だった。各所にダメージを与えて動きを鈍らせる方針だったのだ。




 エリーゼの鋭い一撃がダリドーンの首に迫る。だがダリドーンは身をわずかに反らしてエリーゼの攻撃を防ぐ。

 そして追い打ちとばかりに細剣をしならせてエリーゼの背後から急襲するのであった。




 ――ガギンッ!




 しかしダリドーンの攻撃は弾かれた。エリーゼではない。弾いたのはフーシュであった。エリーゼに密着するくらいの勢いで並走していたフーシュはダリドーンの攻撃を確実に防いだのであった。




「なかなか息が合っていますね。これは手強い」




 ダリドーンが不敵な笑みを浮かべて言う。だがそれはエリーゼとフーシュには皮肉にしか受け取れなかった。

 それほどギリギリの戦いを2人は強いられているのだ。




 ダリドーンが踏み込んできた。かなりの速度だったのでエリーゼは横跳びで退避するしかない。そしてフーシュも盾で防げないと察して後方へと距離を取るのであった。




「……強い。付け入る隙がないわ」




「……さすが中級魔族だね」




 それからもエリーゼは間合いを慎重に見計らい一足飛びの攻撃を繰り返すが、すんでのところでひらりと躱されてしまう。

 フーシュも盾で弾いて隙を作ろうと試みるが、角度が浅く上手に弾けずにいた。




 そしてしばらく時が過ぎた。

 だがエリーゼたちはダリドーンに一撃も加えることができない状態であった。エリーゼの攻撃は紙一重で躱されてしまう。

 しかしこちらもダメージを受けていない。それはフーシュが神業のごとき盾捌きで防いでくれているからであった。




「……苦戦するわね」




「……あたいは防ぐだけだからね。エリーゼに任せてばかりで申し訳ない」




「そんなことないわよ。フーシュが防いでくれているから無傷でいられるのよ」




 間合いを取り会話ができる状態になったことでエリーゼとフーシュは言葉を重ねた。そして2人の顔には疲労が見えていた。

 ギリギリの勝負をずっと続けていたのだ。体力も気力もガリガリと削られている状態なのだ。

 そんなときだった。




「そろそろ限界のようですね。では、これはどうでしょう?」




 ダリドーンが意味ありげな笑みを浮かべた。そして片手を頭上に掲げたのだ。するとそこで漆黒の魔法陣が浮かび上がった。

 そして黒い炎が徐々に浮かび上がり、次々に発射されたのであった。




 ヒュン、ヒュン、ヒュンと間断なく飛んでくる黒い炎たちをフーシュが盾で防ぐ。だが炎の数が多くてすべてを抑え込むことができない。

 盾を躱した炎たちはエリーゼに襲いかかることになる。エリーゼは右へ左へと身軽に交わしていくのだが、数が多すぎて逃げ場がなく追い込まれる羽目になる。




「……チッ」




 エリーゼの左腕に炎が掠めた。ただ掠っただけなのに衝撃でエリーゼは弾き飛ばされてしまった。

 背中から地面に叩きつけられたエリーゼは左腕を見る。すると患部がむき出しになっていて、やけどを負っているのがわかる。

 だが直撃ではなかったので、痛みはあるが動かすのには問題はない。




「エリーゼ、無事?」




「……ええ。掠っただけよ。動けるわ」




 そう答えたエリーゼはすぐさま立ち上がる。ダリドーンの炎攻撃は止んでないからだ。そしてまた躱すことを繰り返す。そのことで焦りが浮かぶ。このままではこちらからの攻撃はできないからだ。

 ただ逃げ回るだけなのである。しかも躱し続けたことでダリドーンとの距離は開く一方だった。




 ……なんとかしなければ……。




 焦燥感だけが募る中、エリーゼは炎を躱し続ける。そんなときだった。

 集落の中が一瞬で濃霧に覆われたのだ。

 近くにいたフーシュだけは輪郭がわかるが、距離が離れたダリドーンの姿は完全に霧に包まれてまったく居場所がわからない。

 そしてそれはダリドーンも同様だったようで、あれほど激しく連発していた黒い炎の攻撃が止んだのであった。




「……いったいなにが起こったの?」




「あたいにもわからない。一瞬で霧に覆われたよね」




 互いに歩み寄り並んた状態になったエリーゼとフーシュは会話を交わす。原因はわからない。だがわかったことがひとつある。それはダリドーンの攻撃を受けずにすんでいることであった。

 とりあえずの間かも知れないが一息をつくことができたのだ。




「……どうやら間に合ったようじゃな」




 そんな声をともに霧の中から姿を見せたのはタマユラだった。いつもの着物姿でしなりしなりと歩み出た来たのだ。




「タマユラ! 無事だったのね?」




「気がついたら森の中じゃったわ。そして戦いの音がしたので来てみれば、お主らが魔族と戦闘をしているのを見かけたという訳じゃ」




「タマユラはひとり? マキラとフラララン、退魔官は?」




「我ひとりじゃのう。マキラたちの姿は見ておらん」




 どうやらタマユラはひとりでこの異世界に飛ばされたようであった。それでもだ。これは願ってもいない援軍である。




「タマユラ。魔族のダリドーンを倒すのに手を貸して」




「あたいたちだけじゃ、勝てそうにないんだ」




「わかったのじゃ。なあに、仲間じゃからな」




 こうしてエリーゼとフーシュはタマユラの力を得ることになるのであった。


タマユラが参戦してくれたのです。(`・ω・´)∩


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。

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