028話 囚われの女性。
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「「「「「ウギャギャギャ……!」」」」」
別の方角から10匹以上のゴブリンたちが武器を振り上げて、僕たちに駆け寄ってくるのが見えた。
「エリーゼ、来たよっ!」
「わかったわ」
エリーゼは短剣を逆手に持って迫ってくるゴブリンたちの方角へと向かう。
僕もそれを追う。
そして転倒魔法を連続で発動させて、順番にゴブリンたちを転ばせた。
ゴブリンたちは走っているのでタイミングがずれて、いくつか魔法を避けられたけど、更に追加で発動させて最終的には全部のゴブリンたちが地面に這いつくばる形になった。
「……ふう。これでほとんどは倒したわね」
地面には首を切られて倒れたゴブリンたちの死骸が転がっていた。
辺り一面に血の臭いが漂っていて、ちょっと吐き気がしそうだ。
「後は……、あのいちばん大きな小屋にいるわ」
「わかるの?」
「気配がするのよ」
さすが斥候職の狼獣人だ。
臭いや音だけじゃなくて気配察知の能力も流石だね。
「……ん? ゴブリン以外の気配もあるわね」
「ゴブリン以外? なんだろう?」
するとエリーゼは複雑な表情を浮かべて僕を見た。
「囚われている……女性がいる可能性があるわ」
「……なんてこと」
さっきの乗合馬車襲撃のときも幼い女の子が攫われそうになったのを僕は思い出す。
あの子のような感じですでに女性が攫われているのかもしれない。
「……行ってみるしかないわね」
「残るは5匹くらいか」
その小屋の中にこの集落のゴブリンの残りすべてがいるのだろう。
僕とエリーゼは細心の注意をしながら忍び足で向かうのであった。
そして小屋に到着した。
その小屋は他のものよりサイズが大きくて丸太と木切れで作った粗末な扉があった。
「ここに群れの長がいるのかな?」
「そうね。群れの規模からしてゴブリンの上位種がいると思うわ。だから気をつけて」
僕は頷いた。
そして扉にそっと手をかける。
扉は軽い力で簡単に開いた。
「「「「「グゲゲゲゲッ」」」」」
中にはゴブリンたちが身構えていた。
今まで戦った緑色の小柄なゴブリンが4匹、そしていちばん奥に人間の大人サイズの鎧を着た大きなゴブリンが1匹いた。
「ゴブリンキャプテン……ね」
なるほど、こいつがここの集落のリーダーらしい。
体格も大きいし武器も粗末なものではなく、立派な剣を持っている。
「マキラ、行くわよ」
エリーゼがそう合図した。
僕は魔法を発動させる。
ゴブリンキャプテンを含めたすべてのゴブリンたちの足元に魔法陣が浮かび上がり、ヤツらは一斉に転けた。
「「「「「グギャギャギャ……ッ!」」」」」
そして一気に加速したエリーゼがゴブリンたちの頸動脈を次々に刎ねた。
いちばん最後に仕留めたゴブリンキャプテンには念の為なのか逆側の頸動脈も切断していた。
いちばんの強敵だからだろうね。
「終わったね」
「ええ。……でも」
そう答えたエリーゼが部屋の奥にある扉を指さした。
「……そうだった」
そうなのだ。
エリーゼはゴブリンとは違う気配もひとつあると言っていた。
それは囚われた女性の可能性が高いのだ。
ゴブリンは他種族の女性を攫って孕ませて種族を増やす習性があると言っていた。
だとすると、この先にいるのはすでに襲われた被害者かもしれない……。
「……今ここであれこれ悩んでも仕方ないわ。行きましょ」
エリーゼがそう言うので僕も頷いた。
覚悟を決めたのだ。
冒険者なのだから、こういう場面はこれから何度も体験するに違いないんだろうな。
そして僕は奥にある部屋へと続く粗末な扉に手をかけた。
キィときしむ音とともに軽く扉が開かれた。
「……これって」
エリーゼはそこまで言って言葉を止めた。
隙間風が吹き込む粗末な部屋の奥に膝を抱えた少女の姿があった。
だが人間ではなかった。
額に2本の角があり、青い肌をした幼い女の子だったのだ。
そして女の子はガクガクと震えていた。
女の子を発見したのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神にたたりなし」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




