015話 Dランク冒険者のエリーゼ。
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「行きます。転倒」
――ツルリン。
「ブモモモ……ッ」
僕は1匹のオークを転倒させた。
オークは魔法陣の上で仰向けにひっくり返って頭を振っている。
なにがなんだかわからないみたいだ。
そしてやっと自分が地面に転がっていることに気づいて、身体を起こそうと地面に両手を着く。
――ツルリン。
また転けた。
巨体がドスンと音を立てる。
同じように腹を空に向けた仰向け状態だ。
「な、なんなのよこれっ!」
「いいからトドメを」
「……わ、わかったわ」
獣耳美少女冒険者は手にした短剣で倒れたオークの心臓を突く。
「……ブモ」
刺されたオークは事切れた。
で、だ。
僕は残る3匹のオークにも転倒魔法を使う。
「転倒、転倒、転倒」
――ツルリン。
――ツルリン。
――ツルリン。
ズドドドと倒れる音がする。
「「「ブモモ……ッ!!」」」
倒れたオークたちのトドメを獣耳美少女冒険者が行う。
ズバ、ズバっとけっこうえげつない。慣れているだろうね。
最初は急いでトドメを刺していた冒険者さんだったけど、オークがなんども転んで立ち上がれないのがわかるとゆっくり慌てずに作業してたよ。
「……ふう。助かったわ」
「間に合ってよかったです」
「私はエリーゼ。見ての通り冒険者よ。斥候職でランクはD」
僕も自己紹介する。
帽子を被り直しローブの乱れも直してからだ。
「へえ、冒険者になったばかりなのに、もうEランクってすごいわね」
「……それほどでも」
うん。褒めれるとうれしいね。
それほどでも、あるよ。
得意なペット探しだったからね。
僕とエリーゼさんは周囲を見回した。
「もう魔物の気配はないわね」
「大丈夫そうですね」
「……しかしホントに運が良かったわ。あなたが来てくれなければ本気に私、ヤバかったかも」
「偶然、戦う音が聞こえたんですよ」
うん。偶然だね。
僕がもう少し離れた場所で採集をしていたらエリーゼさんには気が付かなかったに違いない。
「突然オークとばったり遭遇しちゃったのよ」
「しかも5匹もですか?」
「そう。私が茂みから出たら、そこにたむろしてたのよね」
エリーゼさんは大きく深呼吸をした。
やっと人心地ついたのだろうね。獣耳がピクピク動いたよ。
なんかかわいい。触りたい……。
「で、問題はここからよ。どうやって運ぶかなんだけど私には全部は無理ね」
そう言ったエリーゼさんは腰に身に着けている魔法収納袋を指さした。
やはり冒険者だけあって持っているようだ。
オークは食材になる。割りと多く流通していて庶民でも気軽に食べられるものだね。
これが食べられない魔物の場合だと牙とか角とか毛皮とかだけの素材回収になるけれど、オークの場合はいちばん高く引き取ってくれるのが肉だから、ぜひとも持ち帰りたいんだよね。
「私の袋の容量だと2匹が限界ね。残りはさばいて買い取ってもらえる肉をできるだけ持って帰ろうかしら」
「あ、僕の袋ならだぶん残り3匹なら入りそうですよ」
僕はそう答えてローブをめくって腰にある魔法袋をエリーゼさんに見せる。
「へえ、あなたも魔法収納袋を持ってるのね。新人なのにスゴイわね」
「師匠のなんですよ」
「師匠?」
僕は簡単に事情を話した。
山奥で師匠と2人で暮らしていたこと。
その師匠に残されてひとりになってしまったこと。
師匠の言いつけで街に出て暮らすことになったこと。
そして師匠の帽子とローブと杖と魔法収納袋を持ち出したことだ。
エリーゼと出会ったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神にたたりなし」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




