126話 エリーゼの被弾。
【基本一日置きで夜の18時に更新します】
どうぞ、よろしくお願いします。
そして更に進んだときだった。
それまで僕たちは4つの部屋を攻略していた。いた魔物はオーク、スライム、ゴブリンが中心で特に目立つものはなかった。
そして宝箱も見つからなかったのだ。
「いよいよ地下2階ね」
エリーゼが前方を指さした。そこには下に降る階段があったのだ。
地図を見ながらだったので迷うことなく僕たちはここまで迷うことなく進めたのだ。
「通路には魔物は出ないし、休憩していきませんかっ」
フララランがそう提案してきた。
確かにこれから地下2階に潜るのだ。その前に英気を養うのは賛成だね。
「じゃあ、お茶でも飲もうよ」
僕はそう言って魔法収納袋から水筒を取り出す。中には冷やした豆茶が入っている。休憩用に街で調達したものだ。
そして僕たちは車座になってお茶と茶菓子を楽しむのであった。
「地下2階はオーガを中心とした強い魔物なのよね」
「そうですねっ。私も参戦したいと思いますっ」
「そうじゃのう。フララランが実力を発揮してくれると頼もしいのう」
そうなのだ。
地下1階は正直言ってあまり強い魔物がいなかった。なのでフララランの予約魔法に頼る場面がなかったのだ。
地下2階の魔物が強いならばフララランにお願いする場面も増えるだろう。
そして僕たちは休憩を終え、地下2階へと降りる階段を進むのであった。
■
地下2階では通路に魔物がいた。
横幅3メートルくらいの通路にジャイアント・スパイダーが2匹いたのだ。大きさはヤギくらいはある。
その奥を見通すと遠くでも冒険者たちが戦っているのが見える。だが、明らかに地下1階に比べるとその数は少ない。強敵が多いからだろう。
「動きが速そう。それに毒持ってるのよね」
エリーゼがうんざりそうな口調で言う。
「厄介ですね。マキラに動きを止めてもらいましょうっ」
「わかったよ。――転倒。転倒」
僕はジャイアント・スパイダーに向けて魔法を放った。するとそれぞれの足元に魔法陣が浮かぶ。だが、1匹には逃げられた。
僕は慌てて追加の魔法を展開する。
「転倒。転倒。転倒」
すると素早く動いて躱した1匹を捕らえることができた。
そしてエリーゼが疾駆する。たちまち手前側の1匹の首を刎ねる。そして奥側の1匹に近づいたときだった。
――ブシャア。
驚いた。
クモと言えば噛みつくことで毒を使うと思ったのに、このクモは毒を吐きやがったのだ。濃い紫色の毒々しい液体の塊がエリーゼの頬を掠った。
さすがの身体能力を持つエリーゼでも、予想外のとっさのことで避けきれなかったようだ。
「エリーゼ!」
僕は思わず叫んでしまった。
そのエリーゼはチラリと僕を見るだけで動きを止めていた。
そうだった。ジャイアント・スパイダーの吐く毒は麻痺毒なのだ。今、エリーゼは動くことも喋ることもままならないに違いない。
そしてエリーゼの頬は紫色に変色していた。毒の当たった部分だ。
なんてことだ。エリーゼの美しい顔が台無しじゃないか。
「毒消し、使って!」
僕は小走りでエリーゼに近寄り瓶に入った毒消しポーションを渡そうとする。が、そこで気づく。今エリーゼは動けない。なので僕が瓶を開封してエリーゼの口に注ぎ込んだ。
するとすぐに効果があって、エリーゼは動けるようになった。そして変色していた頬も元のすべすべの肌に戻る。
「ありがとう。やっぱり買っておいて良かったわね」
「良かったよ。エリーゼの綺麗な顔が大変なことになるところだった」
「……え」
そう答えたエリーゼの頬に朱が指す。そして俯いてしまった。
「いちおう戦闘中なんじゃがのう……」
そう言ったタマユラが霧を発生させ、その中から脇差しギツネを5匹召喚した。キツネたちは転倒魔法で動けないエリーゼを襲ったクモを滅多刺しにするのであった。
「ああっ。書いてありましたよっ」
フララランが突然叫ぶように大声を出す。
その手には魔物図鑑があった。どうやらそれを見て声を出したようだ。
「なにが書かれてあったのかしら?」
「ジャイアント・スパイダーのことですっ。このクモは毒を吐き出して飛ばす攻撃をするって書いてあったのですっ」
なんてことだ。
僕、エリーゼ、タマユラは図鑑を覗き込む。するとフララランが指摘した通りに絵付きでジャイアント・スパイダーが記載されていて、その説明文に毒を飛ばすことが書かれてあったのだ。
「これは反省だね」
「そうじゃのう。地下2階に登場する魔物をちゃんと調べる方が良さそうじゃのう」
それから僕たちは地下2階で登場するオーガやジャイアント・スパイダー、トレントなどの項目を丹念に読む。
◯オーガ:身長2メートルを越す大型の人型魔物。怪力で皮膚も固く危険。棍棒や石斧などを武器とする。魔法耐性が高いので物理攻撃が中心となる。
◯ジャイアント・スパイダー:全長1メートル以上。動きが素早い。毒を吐いて飛ばしてくるので要注意。雷魔法に弱い。
◯トレント:身長2メートル程度の樹木型魔物。枝を伸ばして遠距離攻撃してくる。火魔法に弱い。
「……なるほどね。よくわかったわ」
「僕たちは攻撃魔法が苦手なので、物理攻撃で押すしかないね」
「この辺りの魔物だと、予約魔法は最低でも5分くらい欲しいですっ」
「我らにすぐに使える攻撃魔法はないが、マキラの魔法で足止めできるから助かるのう」
僕たちはそれから相談して戦う方法を考えた。と、言っても大した変更はない。僕の魔法で足止めしてエリーゼとタマユラの物理攻撃で倒す。
そしてエリーゼとタマユラの物理押しでも駄目なときはフララランの予約魔法で叩くという作戦であった。
魔物対策が不十分だったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神にたたりなし」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




