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123話 アーガスの冒険者組合にて。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。



 

「……魔剣の情報を訊きたいわね」




「そうですねっ。だとしたら大吸血コウモリの討伐の件も含めて尋ねてみましょうっ」




 そう言ったフララランは混んで列を作っている窓口の列をいつものように無視して、誰も並んでいない非常用窓口に向かうのであった。

 まあ、Sランクの特権だからね。

 僕、エリーゼ、タマユラはなんとなく居心地の悪い気分になりながらもフララランの後ろを追いかけるのであった。




「すみませんっ~」




 フララランが窓口で声を掛けた。ここは非常用なので受付嬢がいないからだ。

 やがて、はい、と緊張を孕んだ声と表情を浮かべた若い女性が急ぎやって来た。

 栗毛の長い髪を左側に垂らした整った顔の受付嬢だった。




「私は担当のメアリーと申します。なにか緊急事態でしょうか?」




「いいえっ。質問があるだけですっ」




 するとメアリーさんは表情を強張らせた。

 ちょっと怒っているみたいだね。まあ、非常用窓口だからね。




「いいですか? ここは非常用窓口です。緊急事態以外の要件ならば他の窓口でお願いします」




 やっぱりそうだろうな。

 思った通りの反応をしたメアリーさんは立ち去ろうとする。




「待って下さいっ。Sランクですっ」




 そう言ってフララランが伝家の宝刀を抜くかのように首から下げた冒険者組合の札を服の間から抜き出した。




「……Sランク! し、失礼しました。ご要件はなんでしょうか?」




 態度を改めたメアリーさんが椅子に腰掛け居住まいを正す。

 僕はやっぱりSランクは特別なんだな、と思い直すのであった。




「ダンジョンの情報を教えて欲しいのですっ。後、魔剣が出たって噂を聞いたのでその話も訊きたいですっ」




「わかりました――」




 そしてメアリーさんが説明してくれた。

 ここのアーガス・ダンジョンは地下3階層まである。各通路は迷路状になっていて地図を購入するのがお勧め。だが未踏破の部分もあるので地図は完璧ではない。

 魔物は1階がオークを中心に比較的弱いものが多い。2階はオーガが基本だが、それ以外の魔物が登場することも多々あり危険。なのでCランク以上の冒険者を推奨しているとのこと。

 Cランクになっていて良かったよ。




 宝箱はダンジョン内の部屋にあるのが基本。ただし一度開けられた宝箱が再度ポップするには一定の時間が必要。

 そして3階の最奥部にはダンジョンボスがボス部屋中央にいる。その魔物はミノタウルスだが、ときおりそれ以外の魔物になっていることも報告されている。




 そして倒した魔物の死骸だが、これは放置でいいとのこと。なんでも時間が経過するとダンジョンの床に吸収されて跡形もなく消えてしまうらしい。

 なんとも不思議極まるが、それがダンジョンの特徴だと言うのだ。




「――そして魔剣の件ですが、先日とあるBランクパーティがミノタウルスを撃破したときに現れた宝箱に入っていました。全体が青く光る魔力を帯びたバスターソードでした。それは報告にきたそのパーティに私も確認させていただいたので鑑定したところ、間違いなく魔剣グラムだと判明しました」




「魔剣グラム……ですか」




 ゴクリと喉を鳴らしてエリーゼが尋ねる。

 するとメアリーさんは深く頷いた。




「はい。ただオリジナルのグラムではなく、のちに複製されたらしきグラムでした。ですが魔剣なのは間違いありませんでした」




 なるほど。

 ダンジョンで見つかったグラムは複製だったのか。それでも魔剣なのは間違いないとのことなので、きっと魔族にも有効なのは確実だろう。




「ただ魔剣が宝箱にあったのは初の報告です。なのでまた出る可能性はとても低いと思って下さい」




 メアリーさんは補足をして追加で発言をした。

 それは仕方ないだろう。なんせエリーゼの目がキラキラと輝いて期待に満ちた表情をしていたからだ。

 そうなんども幸運はないぞ、と言いたいのだろうね。




 それから僕たちは、もちろんダンジョンの地図を購入した。

 地図は地下1階から3階までちゃんと描かれている立派なものだったが、所々空白な部分がある。それはまだ誰にも踏破されていない箇所らしい。

 凶悪な罠あったり強い魔物がいるとかが理由かもしれないね。




「ここに来る途中の野営地で大吸血コウモリを討伐したのですが」




 そうだった。

 ダンジョン情報に浮かれてしまって僕はすっかり忘れていた。こういうときにも冷静なエリーゼはやっぱりリーダー向きだね。




「わかりました。討伐料金をお支払いします」




 討伐部位である右耳を提出した僕たちはメアリーさんから依頼料金を受け取るのであった。報酬は全部で銀貨40枚ほどになった。

 臨時収入は嬉しいね。




 それから僕たちはダンジョンに向かった。

 ただ今から入るには遅い時間なので視察するだけだ。




 それは街のほぼ中央にあった。

 小山のような見上げるほどの岩山があり、そこにぽっかりと大きな穴が開いていたのである。

 そこには冒険者たちが多く出入りし、冒険者組合の出張所まであった。

 入口には武装した冒険者が両脇に立っている。おそらく組合から依頼された護衛役だろう。




「ずいぶんたくさんいるね」




「ダンジョン中心の街だもの。このダンジョンでこの街の経済が成り立っているから大勢の冒険者が集まるのは当然よ」




「それにしても驚きました。まさか街の中央広場にダンジョンがあるとは思いませんでしたっ」




「そうじゃのう。出店もいっぱい出ておるし、ちょっと覗いて行こうかのう」




 僕たちはダンジョンの入口の道の左右に出店された出店を見て回る。

 やはりダンジョンで使用されるものばかりが売られている。




「武器屋に防具屋、道具屋……。すごいわね」




「ポーションや解毒薬なんかもいっぱいありますねっ」




「魔道具も多いのう」




 そうなのだ。

 これは完全に冒険者向けに特化した店たちだったのだ。

 それで僕たちはいくつか買い物をした。サンバーンメの街でも買い物はしたが、足りないだろうと思われる消耗品などを多めに購入した。

 解毒剤なんてほとんど持ってなかったからね。




「これだけ解毒剤を扱う店が多いのはやっぱり毒を使う魔物が多いってことよね?」




 エリーゼがそう露天の店主に尋ねると快く教えてくれた。

 どうやらクモ系の魔物が多く出ることがあるらしい。ヤツらは麻痺毒を使うのでその対策としてたくさん売れるそうだ。



情報収集なのです。(`・ω・´)∩


 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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