122話 アーガスの街に到着。
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そして天幕の外に僕たち4人が並んだ。
それから全員で夜空を見上げる。
するとフララランが突然、大声で叫んだのだ。
「――敵襲ですっ! みなさん起きて下さいっ!」
するとあちこちの天幕の中で動きが感じられる。フララランの声が届いたのだ。
「フラララン。あれはなにかしら?」
「あれは大吸血コウモリですっ。人を襲う魔物ですっ。おそらくこの野営地に大勢の人が密集しているので集まって来たんじゃないかと思いますっ」
なんてことだ。
あれはやはり魔物だったのだ。
僕たちは身構えて様子を見る。すると大吸血コウモリの群れは高度を徐々に下げて来た。そして地面近くまで降りてくると人々に向かって襲いかかる。
「「「「「ギギャギャ」」」」」
鋭い牙を持つ口を開け、血を吸おうと迫ってくるのだ。
野営地のあちこちで戦闘が始まった。
多数でひとりの人を襲うのではなくて、1匹でひとりを襲っている。たぶん餌が豊富だからだろう。
だがそれは守る側の人たちにとって好都合だ。1対多と1対1では勝率がだいぶ違うからだ。
「――シッ!」
エリーゼが肉薄してきたコウモリの首を掻ききった。グエッと断末魔の声を漏らしてコウモリが地に伏せる。
首の骨ごと切られたようで残った皮の部分だけ本体に繋がった状態で血液をぶちまけていた。
「転倒」
僕は眼の前に迫ってきた大吸血コウモリを転倒させた。コウモリは空中で転び地に落ちる。そのコウモリに再度転倒魔法を行使して飛び立たせないように転ばせる。
「私がやるわ」
近くにいたエリーゼがとどめを刺してくれた。
そして振り返ると濃い霧が発生していてその中から脇差しを咥えたキツネたちが現れた。そのキツネたちは近くにいたコウモリを集団で滅多刺しにして倒している。
「行きますよっ」
フララランの魔法の予約が終わったようで、地面から木の根が飛び出しうねうねと伸びて空中にいる数匹の大吸血コウモリを次々と貫いていくのが見えた。
そして僕たち『ひとつの足跡』4人は次の敵を求めて移動する。
野営地は大騒動になっていて、あちこちで戦いが繰り広げられているのがわかる。
幸い、居合わせた者たちのほとんどが冒険者だったので戦いは有利に進められているのがわかる。
戦いは終わった。
東の空にはすでに明けていて朝の陽光が野営地に入りかけていた。
怪我人は多い。そして重症の者もいた。だが犠牲者はひとりもいなかった。
やはり冒険者がほとんどだったので戦う術を持っていたからだ。
怪我を負った人たちはその場で治癒魔法やポーションで回復させられた。
そして今、僕たち冒険者や行商人たちによって大穴が掘られた。その穴に大吸血コウモリの死骸を放り投げている。
後は火で焼くだけだ。
大量の死骸は魔物を呼ぶことになるから、こういう事態が起きたときの対処方法だ。
やがて火魔法がいくつも放たれて死骸はあっと言う間に燃え上がる。天を焦がさんばかりの炎と煙が立ち上った。
そして、討伐部位として多量の右耳が山となって置かれている。だいたいの魔物は常時依頼されているので冒険者組合に持って行けば討伐料金がもらえるからだ。
「全部で200以上あるわよ」
「そうですねっ。これは冒険者の皆さんで山分けでいいんじゃないですかっ」
フララランが居合わせた冒険者にそう提案した。
乱戦だったので僕たちも誰が何匹倒したかわからない。なのでその案は採用された。
野営地にいた冒険者は全部で20人いたので一人当たりだいたい10個ってことだね。
■
そして野営地を後にした僕たちはダンジョンのあるアーガスの街に向かうのであった。
準備ができ次第の出発だったので、僕たち『ひとつの足跡』は他の冒険者とは同道とはならなかった。
まあ、いっしょに戦った仲とは言っても、依頼任務ではないのでこういう場合、パーティ同士は別行動することが多い。
元々は荒くれ者が多い冒険者なのだ。互いにそこまで信用している訳じゃないからね。
それからも移動を続け、途中で昼休憩を取ってまた歩き続けた。
日が傾き始めた頃、丘の麓に深く広い堀と背の高い石壁に囲まれた街が見えた。アーガスの街だ。
街の規模はサンバーンメの半分以下で村と町の中間と言った感じだ。
「あの街の中にダンジョンがあるのよ」
「へえ、ダンジョンを中心とした街なのかな?」
「そうなんですっ。ダンジョンに潜るのは冒険者ばかりなので冒険者のための街ですっ」
「なるほどのう。ならば冒険に必要なものはなんでも揃ってそうじゃのう」
僕たちは坂を下り街の入口へ到着した。堀を渡る石橋の奥に検問所があり、僕たちはそれぞれ冒険者組合の札を見せることで問題なく街に入ることができた。
「まずはなによりも冒険者組合に行かなくちゃならないわ」
「そうだね。情報が欲しいしね」
「宿の手配も必要ですっ」
「そうじゃのう。あれが冒険者組合の事務所じゃのう」
タマユラが指差す先に2階建ての大きな建物が見えた。剣と斧と盾を組み合わせた図案の看板がある。間違いなく冒険者組合だ。
そして僕たちは組合の事務所に入るのであった。
そしてまずは情報を、と言うことで掲示板に向かう。そこには依頼票がびっしりと貼られていた。
「やはりダンジョンだけあって依頼内容はダンジョンに関係するものばかりね」
「そうですねっ。どれもこれもダンジョンで入手できるものだけですねっ」
「そうじゃのう。街の外での依頼はまったく見当たらんのう」
そうなのだ。
内容を見るとすべてダンジョン内での素材収集だ。魔物の部位を回収して欲しいとのことだ。
具体的にはオークやオーガなど多岐に渡る魔物の素材で、牙とか角とか爪とか毛皮などと言った感じだ。仕留めて魔法収納袋に入れて持ち帰ればここで買い取ってもらえるという塩梅だった。
ダンジョンの街に到着したのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神にたたりなし」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




