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121話 夜空を飛ぶモノ。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。



 

 ■




 翌日、僕たち『ひとつの足跡』4人はサンバーンメの街を出た。そして進路を東へと向けて街道を歩く。

 アーガスの街まで徒歩で2日かかるとのことだ。




「さあ、出発ですっ」




 フララランが腕を天に突き上げて叫ぶ。

 それを合図に僕たちは街道を歩き始めるのであった。

 今日も天気はいい。空の隅にぽっかりと白い雲が浮かんでいるのが見える。

 街道は石畳などの舗装はされてはいない土の道だが、よく手入れされていて馬車がすれ違えるほど広い。道の両脇は穀物の畑になっていて、農作業をしている人たちの姿がちらほら見える。




 まだ街の近くなので行き交う人々も多い。徒歩で荷物を背負っての移動の人もいれば、荷馬車でサンバーンメに向かう人たちともすれ違う。




 やがて昼休憩を取り、また道を進む。

 そして日が傾き始めた頃だった。野営地を見つけたのだ。街道脇の開けた場所でもう何組もの旅人たちが野営の準備を始めている。

 この野営地は川沿いで水の心配はいらなかった。




「私たちもここで今夜は泊まりましょう」




「そうだね。暗くなる前に準備しよう」




 エリーゼの提案に僕たち3人は頷いた。

 そして魔法収納袋から野営セットを取り出す。天幕とか簡易竈門とか食器とか毛布とかだ。




「冒険者が多いね」




 僕は周りで野営する人たちを見てそう言った。行商人もちらほら見えるのだが、多いのは革鎧に剣や槍で武装している者が目に付くのだ。




「アーガスに近いからかしら?」




「そうでしょうねっ。やっぱり冒険者にとってダンジョンは実入りがいいですからっ」




「なるほどのう。言われてみれば荒くれ者の姿が多いのう」




 僕たちは焚き火を囲んで食事をしながらそんな会話をするのであった。




「……魔剣が出たって話だぞ」

「マジか……!」

「それが本当なら夢が広がるな」

「おそらくラスボス討伐で出たんだろうな」




 近くからそんな話し声が聞こえてきた。

 見るとそこには僕たち同様に焚き火を囲んで野営している4人の男たちの冒険者がいた。2人は人族で2人は長い角を持つ鹿獣人だと思える。

 人族2人と鹿獣人の1人は剣を佩いた前衛職で残りの鹿獣人は僕と同じように三角帽子、ローブ、杖の組み合わせなので後衛の魔法使いだろう。




「気になる噂ですねっ。私がちょっと聞いてきますっ」




 フララランがふらりと立ち上がると4人組の冒険者たちの輪に遠慮なく入って行く。そしてすぐに打ち解けてしまったようで、話が盛り上がっている。この辺りはさすがのフララランだ。




 そして10分もしただろうか、フララランが戻って来た。

 そして説明が始まる。




「あの人たちはCランクパーティの『豊穣の翼』と言うそうですっ。そして行き先はやっぱりアーガス・ダンジョンだそうですっ。で、魔剣の噂は街道ですれ違ったダンジョン帰りの知り合いパーティから聞いたとのことですっ。なんでもダンジョンからバスターソードの魔剣をゲットしたパーティが現れたらしいのですっ」




 噂をまとめると、ダンジョンを走破したあるパーティがラスボスを倒した際に宝箱が登場し、その中に魔剣が入っていたそうだ。

 そのパーティのリーダーはちょうど両手剣使いだったので、売ることはせず所持することに決めたそうだ。




「……はあ。羨ましいわね。でも、バスターソードじゃ私は使えないわね」




「必ずしも魔剣が手に入る訳じゃないそうですっ。でもエリーゼが使える短剣の魔剣が出る可能性はゼロじゃありませんよっ」




「そうだよ。諦めるにはまだ早いよ」




「そうじゃのう。……それに例え手に入らなくてもダンジョンは我らにはいい経験になるしのう」




 そんな会話をしているとやがて夜が更けてくる。

 なので僕たちは天幕に入って寝ることにした。最初の見張りはエリーゼなので彼女だけは焚き火の側に残る。

 順番はエリーゼの次はフラララン、その次はタマユラ、そして僕に決まった。これはくじで決めただけの理由だ。

 僕たちは毎回、夜の見張りはくじで決めているのだ。

 なので僕は早々に寝床につくのであった。




「……マキラ。交代の時間じゃ」




 天幕の外からそう声を掛けられて僕は目を覚ます。

 外に出るとまだ辺りは真っ暗だった。

 そして焚き火の側にはタマユラの姿があった。




「お疲れ様。交代するね」




 僕がそう声を掛けるとタマユラは欠伸をしながら立ち上がった。




「じゃあ、頼むのう」




 そう言ってタマユラは天幕の中に姿を消す。

 僕は焚き火の側に置かれた丸太に座った。そして空を見上げる。

 空は満天の星空だった。

 そのときだ。

 瞬く数多の星々の光を遮るように黒い物体が夜空を横切ったのだ。

 それも数が多い。なにかの群れだろうか……。




 僕は観察を続ける。

 するとなんとなくわかってきた。

 黒い物体は生き物だ。そして大きさは人ほどはある。その群れがこの野営地の真上を一糸乱れぬ編隊を組んで旋回しているのだ。




「鳥じゃないよな……」




 最初は大型の鳥の群れだと思った。

 だが羽ばたき方がなんか違う。なのであれこれ色々思い出したのだがどうにもこの群れに当てはまる候補が浮かばない。




「……ワイバーンでもないな」




 ワイバーンなら以前に寄ったイチバーンメの街で討伐作戦に参加した。なのでワイバーンの飛び方は覚えている。あれはちょっと羽ばたくと滑空する飛び方なのだ。

 この群れは小刻みに羽ばたきを繰り返している。それに大きさもワイバーンに比べればだいぶ小さい。




「……なんにしても、みんなを起こした方がいいな」




 僕は天幕の扉部分の布を捲った。そして寝ているみんなに声を掛ける。




「ちょっと起きて。なんか変なモノが飛んでいるんだ。それも群れで」




 するとエリーゼ、フラララン、タマユラが上半身を起こした。




「魔物なの?」




 エリーゼが短剣を掴んで僕に問う。

 僕は首を左右に振る。




「それがよくわからないんだ。少なくともワイバーンじゃない」




「わかったわ。みんな戦闘準備をよろしくね」




 エリーゼ、フラララン、タマユラはすぐに準備を完了した。

 この辺りはさすがに冒険者だ。いつも緊急事態に対する心構えができているのだ。



なんか飛んでるのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

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