118話 顔合わせ 2。
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「私たちも自己紹介をします。私がリーダーのエリーゼ。斥候職でCランクです。そして魔法使いのマキラ。同じくCランクです。後の2人は本人から紹介してもらいます」
するとエリーゼから手で合図を送られたフララランは口を開く。
「エルフ族で魔法使いのフララランですっ。いちおうSランクですがあまり強くありませんっ」
フララランが強いのか弱いのか判断に迷うところだ。
支援が得意なのでバリバリの攻撃魔法が使える訳じゃないみたいだし、魔法発動には予約時間が必須という特徴があるからね。
「最後は我じゃのう。幻術使いのタマユラじゃ。Cランク冒険者。そして見た目は狐獣人じゃが、本当は妖狐じゃ」
どうやらタマユラは隠し事をしないようだ。まあ、勇者パーティにもブルーオーガのミサイアさんがいるしね。隠す必要がないからだろう。
「フララランはいつの間にかSランクになってたのか」
師匠がフララランを見て言う。
「アルスイーヌ……アルと言った方がいいんですねっ? 出会った頃はAランクでしたからねっ。Sランクになったのは10年くらい前ですっ」
なるほど、と師匠は納得したようだった。フララランと師匠はエルフと魔女だから知り合ったのはきっと何十年前とかなんだろうな。
「タマユラと言ったか。私と同じく魔物とは親近感が湧くな」
「そうじゃのう。これからもよろしく頼むのじゃ」
ミサイアさんとタマユラは互いが実は討伐対象になりかねない魔物同士なので気が合うようだ。
そして話題は魔族討伐の件になった。
事前に僕たちが得ていた情報通りで、勇者パーティは今度はこのサンバーンメが狙われると察知して早々と現地入りしていたようだ。
だがなかなか魔族が現れず時間ばかりが過ぎて行く。かと言って他の街に移動するのは問題なので街の巡回を繰り返してきたとのことだ。
そして今日、強い悪意を地下の街で察知できたことから、地下街で巡回をしていたらしい。その際に3人別々で巡回したとのこと。
これは魔族の気配は1体だけなので、バラバラに別れた方が発見、討伐が早く行えるからだと説明された。
相手が魔族でも1体であれば勇者パーティはみなひとりで対応できるからとのことだ。
まあ、ニバーンメの街でミサイアさんがひとりで魔族を討伐するのを見ているからそれは簡単に理解できた。
そして魔族の出現を感知し、いちばん近くにいた師匠が到着したときに、僕たちが戦っていたと言う訳だ。
「しかしお前たち。いくらSランクのフララランがいるとは言え、残りは3人ともCランクだろう。よくぞ足止めしてくれた。お陰で犠牲者が出なかったのは幸いだった」
勇者スザクに感謝されてしまった。
なんか照れてしまい、言い訳じみた言葉が口から出る。
「……いや、あの。……スザクさんのお陰です。前に模擬戦をしてもらったときに魔法の重ねがけを覚えたのです。それが今回役に立ちました」
「俺との模擬戦。……ああ。あの魔法か。レジストするのは簡単だったが確かに重ねがけされたら動けなくなったな」
あのときを思い出したのか勇者スザクはふと遠い目になってそう答えた。
そう。僕はあのとき勇者スザクがわざと魔法に掛かってくれたと信じている。僕に魔法の応用を身体で教えてくれたのだ。
それ以来、強敵相手には転倒魔法の重ねがけを使用するように努めているからだ。
「今度はマキラたちの話を聞かせてくれ。お前たちの受けた依頼はなにか背後に思惑がありそうだ」
師匠がそう尋ねてきた。
ちなみに師匠は僕と同じくらいの背丈で背は高い方じゃない。全体的にスリムなのだが、胸だけは大きい。髪は闇夜を思わせる漆黒で腰より下まで伸ばしている。
そして顔は整っていて美人と断言して間違いない。そして深い黒の瞳は見ていると吸い込まれそうになる。
でもいちばんの特徴は年齢がわからないことだ。10代後半に見えるときもあるし、30代くらいに見えるときもある。とにかく年齢不詳なのが師匠なのだ。
でも今ではその理由が僕にもわかっている。
師匠は魔女なのだ。魔女は人族と外見はそっくりだが魔力が桁違いに大きいのとエルフと同じくらい長命だからなのだ。
「私たちが受けた依頼は行方不明になった獣人族の少女たちの捜索依頼でした……」
そしてエリーゼが説明する。
この事件には導入部分がすでにあったことからだ。それはエリーゼの故郷で2人の少女の誘拐未遂事件があったこと。そしてタマユラが保護した少女3人も獣人の少女だったことだ。両方ともサンバーンメの街に連れて行かれそうになったことも判明している。
そこでこのサンバーンメの街で起こった4人の獣人少女の行方不明事件。
先のことからこの件も関連性があると判断した僕たちはタマユラを囮にして誘拐団のアジトに潜入し4人を助け出したことを勇者パーティ一行に話したのであった。
「なるほどな。それでその書類はなんだ?」
腕組みして僕たちの話を聞いていた勇者スザクが腕を解いて長テーブルの上に置かれた書類束を指さした。
それはエリーゼが魔法収納袋から取り出したものだった。
「これは誘拐団のアジトで手に入れた書類です。これまで攫われて違法奴隷にされた人たちの情報や買い手となった者たちの詳細が記載されています」
「なぜ、冒険者組合や衛兵隊に提出しない?」
「それは危険があると考えたからです。誘拐団の組織は規模がわかりません。もし巨大な組織だった場合、組合や衛兵たちの中に協力者がいる可能性を考慮したのです」
「なるほど。それは確かに考えられるな」
師匠が重々しく頷いた。
すると勇者スザクもミサイアさんも同じ考えに至ったようで2人とも同意を示すために首肯するのであった。
そして勇者スザクは書類束を手に取り、1枚1枚さっと目を通していく。そうやって最後の1枚まで確認した後に口を開いた。
「これは俺が預かろう。どうやらこの件にこの街の領主は関わっていない。なので俺から領主に報告させてもらうとしよう」
そう言ってくれるのであった。
確かに勇者ならば領主に立場的に劣ると言うこともないし、対等の地位として対面し報告してくれるだろうね。
「助かります。勇者ならばお預けしても安心です」
こうしてこの件のこれ以降は勇者一行に任せることになった。
決して悪いようにはならないだろう。
これで会合は解散となった。
勇者パーティ3人は先に席を立った。
それを見て僕は立ち上がり声をかけた。
「師匠。少しお時間をいただけますか?」
「ん。いいぞ。なら2人きりでどうだ? 組合の食堂に行こうか」
僕は頷いた。
そしてエリーゼたちには席を外してもらえるようにお願いしたのだった。
勇者に依頼したのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神にたたりなし」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




