114話 地下の街。
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「で、問題はどうやってここを出るかね?」
「元来た道順じゃ、なにか問題あるの?」
僕は疑問を感じた。
ここにいた5人の誘拐団は檻に閉じ込めたし、来た道で戻っても大丈夫じゃないかと思ったのだ。
だが、エリーゼ、フラララン、タマユラは揃って首を左右に振る。
「それは危険ね。できれば避けたいわ」
「そうですねっ。まだ他にも誘拐団の構成員がいる可能性もありますねっ」
「そうじゃのう。他の連中がここへ戻って来て鉢合わせの可能性もあるしのう」
なるほど。
そう言えばこの場所に繋がる通りの店から出た男が1人いた。そしてこの場所の檻に閉じ込めた5人と合わせると6人。
だが、違法奴隷の誘拐組織なのだ。もっと大勢構成員がいたとしても不思議じゃない。みんなが言う通り帰り道でばったり出くわしてしまう可能性がある。
僕たち4人だけなら大丈夫だろうけど、今はノーアたち少女4人を無事に帰すのが第一だ。なので安全策を取りたいのだろう。
「こういう組織が行き止まりの袋小路を根城にしているとは思えないわよね」
「そうですねっ。かならず裏口も用意していると思いますっ」
「そうじゃのう。衛兵に踏み込まれても逃げられる準備はしておるじゃのうな」
そう言うことで、僕たちは他の出口を探すことにした。
ただ檻に捕らえた男たちに今はその質問はできなくなっていた。なぜかと言うとあんまりにも騒々しいのでタマユラが先ほど幻術を使って眠らせてしまったからだ。
初めて見るタマユラの能力だが、眠気を誘う幻術らしく、一瞬で暗闇が檻の中で発生し内部を覆ったかと思ったら、すぐに闇が消えて観察すると男たちが全員いびきをかいていたのであった。
「まあ、あの男たちに訊いても素直に白状するとは思えないわ」
「そうですねっ。この部屋は広いですが自分たちで探せそうですっ」
「そうじゃのう。隠し扉とかあるかもしれんのう」
それから僕たちは手分けして室内を探し回った。
そして5分くらい経過したときだった。
「……あったわ」
エリーゼが僕たちを手招きする。
すると書類棚の背後に抜け道があったのだ。
どうやら棚をずらして隠してあったようだ。
「真っ暗だね」
「非常用の脱出口みたいですねっ。私が光の魔法で灯しますっ」
そしてフララランの光精霊の魔法が発動されたことで僕たち4人とノーアたち少女4人の合計8人は隠し通路の中に入るのであった。
通路の中は狭い。
天井はぎりぎり立って歩けるくらいしかなく、横幅は2人並んで歩くのは無理だった。
なので斥候職のエリーゼを先頭に、照明係のフララランが二番手、そして少女たち、僕、最後尾はタマユラと言う順番で一列で進むのであった。
道は相変わらず天井も壁も床も岩盤だ。そして高低差がないようで、ほぼ平らな道になっていた。
「直接、街の外につながっているのかしら?」
「そうかもしれませんっ。この街に来た時に通った通路には分岐がいくつもありましたっ。なのでそういう道につながっているかもしれませんねっ」
「なるほどのう。まるで迷路じゃのう」
僕たちはそんなことを話しながら通路をどんどん進む。
念の為、いちおうノーアたちにこの通路のことを質問したが、来たことがない通路だとのことだ。
そんなこんなで30分も歩いた頃だろうか、左に曲がっている通路の先の方から光が見えてきた。
どうやら分岐はなくて、この先に直接繋がっていたようだ。
「どうやら出口みたいだね」
「いちおう警戒してね」
「そうですねっ。なにが待ってるかわかりませんからねっ」
「そうじゃのう。気をつけよう」
僕たちは通路を曲がった。
するとそこにはだだっ広い空間があった。
「「「「ええっ……!」」」」
僕たちは思わず叫んでしまった。
それもそのはずで、その空間はとてつもなく広かった。
そして無数の建物が建ち並んでいたのだ。そして通りには人々が大勢行き交っていた。
頭上に広がる天井の岩盤には数え切れない程の照明魔道具が吊るされていて、外の昼間には程遠いものの、文字を読む程度であれば問題ない明るさが確保されている。
そして建物だが、すべて平屋で石造りだった。
「ねえ、あの建物ってみんな岩をくり抜いて造ったんじゃないかしら?」
「そんな感じがするね」
「そうですねっ。岩盤の色と同じですっ」
「外から石材を持ってくるよりも、この方が早かったんじゃろうな」
岩盤なんてそう簡単に掘れるものだろうか……?
そんな疑問を持ったけど、現に目の前に広がる岩造りの街並みがあるのだから、きっとそういうのに特化した魔道具とかがあるんだろうな、と思うことにした。
そして僕たちは警戒しながらも街へ入る。
だが別に街の人々は僕たちをまったく注目していない。ただの通行人としてしか認識されていないようだ。
そして道の脇に花壇があった。
日陰でも育つ花のようで白くて小さな花が並んで咲いているのだ。
どうやら土を外から持って来たんだろう。
「この街は誘拐団の組織とは関係ないのかしら?」
エリーゼが周囲を見ながら言う。耳がピンと伸ばして動かしていることからエリーゼはまだ安心していないように見える。
「そうじゃのう。空が見えるか見えないかの違いはあるが、岩盤の上の街と同じようなただの街に見えるのう」
「そう言えば、地下にも街があるってことを思い出しましたっ。これがそうなんじゃないかと思いますっ」
そうだった。
確かに行商人のツバルさんの護衛としてこの街に入ったとき、フララランがそんなことを言っていたはずだ。
「街ってことは今来た以外にも道はあるはずよね?」
「そうだよね。いくらなんでも僕たちが通ってきた通路だけじゃこの街の人たちの生活が成り立たないよ」
「そうですねっ。きっと何本も道があるはずですっ」
「そうじゃのう。おそらく岩の上の街に繋がっている道があるはずだのう」
そして僕たちは街中を歩き始めた。
目的は岩盤の上にある街へと繋がる通路を探すためだ。
行き交う人々を避けながら、僕たちは奥へ奥へと進んで行く。
地下に街があったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神にたたりなし」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




