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112話 アジトの内部に到着。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。



 

「……結構深いわね。これはどこかに通じている通路と考えるのが良さそうね」




「そうですねっ。降りてすぐに地下室ってことはなくなりました。しかも下っているので間違いなく街の下の岩盤の通路に繋がっていますねっ」




 そうなのだ。

 階段を降りた先には天井も壁も床もすべて岩になっていて、緩やかに下っているのであった。




「ねえ、エリーゼ。気配とかわかる?」




 僕がそう訪ねるとエリーゼは首を左右に振る。




「この近くには誰もいないわね。人も魔物もいないわ」




 どうやらこの通路はかなり距離があるらしい。タマユラがここに連れ込まれたのは間違いないのだ。なのに気配が察知できないと言うことはエリーゼの気配察知の範囲外まで続いていると言うことになる。




 通路は更に奥まで下っている。

 そんな中をフララランが灯した光を頼りに僕たちは進む。

 そして30分くらい経過したときだった。

 それまで1本道だった通路が分岐しているのが見えた。道は左右どちらもほぼ同じ大きさなので、どちらが本道なのか判別ができない。

 そんなときだった。




「ああっ。案内板がありますよっ」




 フララランが岩の壁を指さした。するとそこに板で造られた案内板が貼り付けられているのだった。

 僕たちは案内板の前まで進んだ。そして見る。すると道が二又に分かれている現在地が目印されていて判明した。




「この赤丸がしてある所が行き先みたいね」




「道順が複雑ですねっ。この二又を右に曲がって、その次は左、そしてまた左、最後に右ですかっ……」




 これはややこしい。

 地形上の理由で道順が複雑になってしまったのか、それとも侵入者対策でこうなったのかはわからない。




「でも、行き先に当てがないんだから仕方ないわよね」




 そうなのだ。

 僕たちは現在、タマユラの位置がわからない。だからこの案内板しか頼りになる可能性があるものがないのだ。




「行ってみましょうっ。もし違ったら戻ればいいんですっ」




 さすが楽天家なフララランだ。なにがあっても後ろ向きに考えることはないみたいだね。



「そうね。まずはこの案内板通りに行ってみることにしましょう」




 エリーゼのその判断で僕たちは右側の通路に入るのであった。

 そして案内板に書かれていた通りに、現れた分岐を左、左、右へと曲がった。

 そんなときだった。




「……気配があるわね」




 突然にエリーゼがそう囁く。

 僕たちの間に一瞬にして緊張が走る。




「どれくらいの数? 見張りとかもいるのかな?」




「タマユラは察知できましたかっ?」




 僕とフララランが立て続けに質問する。

 するとエリーゼが頷く。




「数からして見張りはいるようね。そしてタマユラは大丈夫。気配を感じるわ」




 エリーゼが説明する。

 タマユラの気配がある場所には更に4つの気配があって、どうやら一箇所にまとめられているらしい。




「きっとタマユラ以外の4人は行方不明の獣人少女たちですねっ。牢にでも入れられている可能性がありますっ」




 なるほど。

 確かに捕らえた少女たちは逃げられないように閉じ込めているだろう。そして監視がしやすいように一箇所に集められるのも理解できる。




「それで、見張りは5人いるんだけどおかしいのよ」




「おかしい? どういうこと?」




「ゆっくりだけどぐるぐる歩いているのよ。彷徨っているって感じね」




「それは意味不明ですねっ。じゃあ確かめましょうっ」




 僕たちは互いに頷いた。

 そして先に進む。すると通路の出口が見えた。内部は大きな空間になっているようで、そこから明かりが漏れているのだ。

 だが、どうにも様子がおかしい。出口の先が見通せないのだ。




「……霧かしら?」




「霧だね」




「霧ですねっ」




 そうなのだ。

 出口の先の空間内は真っ白な霧で満たされていたのだ。それもかなりの濃霧でまったくなにも見えない。




「察するにですがっ、これはタマユラの仕業じゃありませんかっ」




 なるほど。

 確かにタマユラは霧を自在に操る。なのでこんな地下空間で発生した霧は偶然じゃなくてタマユラが起こした現象と考えるのが普通だ。




「そうね。あり得るわね。……慎重に入るわよ」




 エリーゼの言葉に僕とフララランは頷いた。

 そして中へと踏み入れた。

 すると人の気配がし、声が聞こえてくる。




「いったい、なんなんだ?」

「なんにも見えねえぞ」

「どこがどこだかわからねえ」

「ちきしょー」

「出口はどっちだ?」




 男たちの声だった。

 そうとう混乱している様子だが、奴らは誘拐団のメンバーだろう。

 視界がまったく効かない濃霧の中で手探りで歩き回っているのがわかる。

 時折、ボウッと影の輪郭が浮かぶので、この場所で彷徨っているのは間違いないようだ。



「歩き回っているのは誘拐犯に間違いないわね。マキラ、できる?」




「2人はここで待っていて。僕だけが中に入って順番に転ばすから」




 僕はそう説明した。

 この濃霧なのだ。3人で入ったらエリーゼやフララランに魔法を誤射してしまう可能性が高いからね。




 そして僕はひとりで中に入る。

 中では相変わらず真っ白でなにも見えないが、声を上げて彷徨い歩く誘拐団たちがときおりボオッと霧の中から浮かび上がるのがわかる。

 この空間の中にいるのは僕以外はすべて目標。なので見えた瞬間に片っ端から魔法を放っていく。




 ――転倒。




 ――ツルリン。




「うぎゃ。な、なんだ……?」




 ――転倒。転倒。転倒。転倒。




「……ち。た、立上がれねえ」

「お、おい。どうなってんだ?」

「痛え。また転んだ」

「動けねえぞ……」




 どうやら全員を転倒させることができたようだ。




「エリーゼ、フラララン。もういいよ」




 僕が入口付近で待機しているエリーゼたちを呼んだ。

 すると僕のその声に気づいたようで、霧の中から声がした。




「その声はマキラじゃのう。終わったのかのう?」




「その声はタマユラね? ええ。マキラが全員を転倒させたわ」




 すると次の瞬間、さあっと霧が晴れた。

 岩盤の床には、立ち上がれず藻掻く人族の男たちが5人。両腕を地面につけるとその場で転けて呪詛のような言葉を吐きながら転倒を繰り返す姿があった。



濃霧の中での転倒魔法なのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

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