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107話 獣人少女捜索依頼の受注。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。




 

「いいじゃないですかっ。終わり良ければ全て良しですっ」




 能天気なフララランはそう言って晴れやかな笑顔を見せる。

 細かいことなんかどうでもいいって感じだ。

 だが、驚くことはそれだけではなかった。




「あとひとつ。エリーゼとマキラは今日からCランクだ。貢献ポイントが十分到達しているし、貴族家の依頼も達成しているからな」




「「ええっ~!」」




 これには僕とエリーゼが叫んでしまった。

 まさかの昇格だ。

 Cランクになったってことは冒険者として一人前扱いされるだけじゃなくて、国外を跨っての活動もできることになる。




 ……あ。それで思い出した。だとすると謹慎の元になった隣国オツ王国での護衛依頼はどうなるんだろう?




「ちょっといいかのう? 我は先日の護衛依頼で討伐したオークを5匹まだ持っているんじゃがな」




 タマユラがその件について発言してくれた。




「おお、その件があったな。謹慎も解除となったことだし正式に依頼達成として扱わせてもらうぞ」




 そしてロイドさんの指示で僕たちはリリエさんによって護衛依頼達成の処理をしてもらい、オークも買い取ってもらうのであった。

 それから窓口で先に質問していた獣人少女捜索依頼を受注した。

 実は金額が金貨2枚と多くない割に面倒な仕事なので、このままでは放置されかねないとリリエさんは心配していた案件だったらしい。




「では『ひとつの足跡』のみなさんにお願いしますね。期限は特に定められていませんが、こういう場合は1週間を目安に冒険者には依頼していますので」




「わかりました。1周間ですね」




 リリエさんの説明に代表してエリーゼが返答するのであった。

 こうして僕たちは謹慎も終わり、正式に行方不明の獣人少女たちを捜す依頼を受けたのであった。




 ■




 僕たちは捜索を始めることになった。

 そしてまずは手がかり探しと言うことで被害者宅に訪問することにしたのだ。

 つまり娘さんが行方不明になった家。

 家族の人たちから、まずは情報を得たいと考えたのだ。




「この辺ね……」




 僕たちは大通りから1本入った裏通りへと来ていた。

 この辺りは住宅街になっていて、店はほとんどなく行き交う人々も少ない。

 なので歩いているのはほぼ住民のみだと思える。




「あれじゃないですかっ?」




 フララランが古い石造り2階建ての建物を指さした。

 それ近隣の建物と同じような造りで、ここいらではありふれた集合住宅だった。

 1階に2部屋、2階に2部屋の四角い造りで中央部に2階へと登る階段がある。




「あれがそうなの?」




 僕には周囲の建物と区別がつかない。

 だが地図ではこの辺りなのは間違いないし……。




「あれですっ。依頼者のズンドさんの家は花屋を営んでいるとありますっ。なのであの2階のベランダに花がいっぱいの家がきっとそうですっ」




 なるほど。

 確かに花屋さんの家ならば花がたくさんあるのは理屈的に正しい。

 そしてそれは確かだった。

 訪ねるとそれは間違いなく依頼者のひとりであるズンドさんの家だった。




 僕たちは居間へと案内された。

 招いてくれたのは行方不明少女の父親でもあるズンドさんだった。

 ズンドさんは猫耳、猫尻尾の30歳代の猫獣人だった。

 花屋は今日は定休日なので家にいたとのことだ。そして奥さんは今は買い物中で不在だったので、ズンドさんひとりだ。




「……冒険者組合でも受注されるか難しいと言われていました。なのでとても嬉しいです」



 そう言ってズンドさんはソファに座った僕たちにお茶と茶菓子を振る舞ってくれた。




「早速なのですが、娘さんのことを教えて下さい」




「……もう2週間になります。ひとり娘のノーアが買い物をしに街に出て、それ以来戻って来ないのです」




 聞けば、買い物はいつも行っている日常のことで、特段珍しい頼み事ではないとのこと。いつも八百屋や肉屋などに食材を買いに行くのはノーアの仕事だったとのことだ。




「その日もいつもと同じでした。妻から野菜の買い物を頼まれてノーアは買い物籠を持って家を出ました。ですが……、夜になっても戻りませんでした」




 ズンドさんの表情は悲痛だ。

 愛しているたったひとりの娘がなんの前触れもなく行方不明。

 これで心を傷めない親御さんなどいないだろう。




「特徴とかありますか? また服装などはどんな格好でしたか? ……姿絵などがあればありがたいのですが」




 エリーゼの質問にズンドさんが首を振る。




「特徴と言っても……。髪の色は私と同じ濃い茶色。服は草色のチュニックに紺色のスカートです。姿絵は……、ありません。画家に依頼するのは大変なので……」




 容姿から捜すのは難しそうだ。

 濃い茶色の髪でどこでも見るような町娘の格好。そして姿絵はズンドさんが言う通り普通は富裕層しか持っていない。画家に描かせるのにはとてもお金がかかるから、普通の暮らしをしている人々には縁遠い話だろうしね。




 その後も色々質問したがわかったことは少なかった。

 わかったことをまとめると、名前はノーア。年齢は13歳の猫獣人の少女。髪と尻尾の色は濃い茶色と言うことだけだった。

 そして僕たちはズンドさんにお礼を言って辞去した。




「あなたたちが依頼を受けてくれて良かった。パーティメンバーに獣人が2人もいることで親近感があります。娘たちをよろしくお願いします」




 そうズンドさんは言ってくれた。

 言われてみれば僕たちのパーティはエリーゼが狼獣人でタマユラが狐獣人だ。

 ……もっともタマユラは本当は妖狐だけどね。

 でも、そういう構成のパーティなのでズンドさんが親近感を持ってくれたのは理解できたのだった。




 どうもズンドさんの話しぶりから察すると衛兵隊が熱心に捜索してくれない理由のひとつに行方不明者がすべて獣人と言うのもあるようだ。

 この街では獣人などの亜人種が法的に差別をされている訳ではない。

 だが、獣人種に高貴、もしくは富裕な身分の者がいなく、すべて庶民層、貧困層なので衛兵隊からの扱いがどうしても雑にされてしまうようだ。

 だからズンドさんは僕たち『ひとつの足跡』に獣人メンバーは2人もいることで安心感を覚えたようだね。



捜索開始なのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

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