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101話 スリの隠れ家。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。



 

 ■




 それから40分くらい歩いた頃だった。

 眼の前は岩壁になった。




「なんだか寂しいところに来たね」




「そうね。でもスリの足跡は続いているわね」




「そうですねっ。どんどん寂れた場所に目指していますねっ」




「そうじゃのう。隠れ家かなにかかのう」




 そうなのだ。

 もう人家はなくなり外壁みたいになっている岩壁が左右に広がっている。どうやら街の外れに来たらしい。

 そしてその岩壁沿いの曲がって右側に足跡草は続いていたのだ。




 それからしばらくしたときだった。

 足跡草が岩の影で途絶えたのだ。まるでここから飛び上がったかのように足跡が断絶していたのだ。

 もちろんこの上には岩壁が伸びていて足場になるような場所はない。




「……もしかしてこちらに気がついて細工したのかしら?」




 小声でエリーゼがささやく。




「どうでしょうっ? ……あ、この先なにかありますよっ」




 フララランが足跡が途絶えた箇所の岩壁に触れてそう発言した。

 見ると岩壁の一部が加工してあって動くようになっているのだ。




「岩で入口を隠していたのね」




「そうみたいだね。と、するとこの中がスリの隠れ家なのかな?」




「わかりませんっ。入ってみましょうっ」




 フララランが岩壁の一部を横にするりと動かした。

 するとそこにはぽっかりと空いた入口があったのだ。

 中は薄暗い。だがずっと奥まで続いているようだ。




「入るしかないよね?」




「そうね、なんせ私たちの全財産が奪われたのよ」




 僕とエリーゼ、フラララン、タマユラは互いの顔を見て頷いた。

 そしてエリーゼを先頭にして、タマユラ、フラララン、僕の順番で洞窟に入るのであった。そしてこの洞窟だが、要所要所に照明用の魔道具が設置されていた。それは一定時間光り続けるだけの粗末なものだ。おそらくたぶん費用がかからないように安いものを使っているのだろう。

 よく見ると岩の地面に足跡草が続いているのもわかる。なのでこの道で間違いないのだろうね。




「……気配があるわね」




 小声でエリーゼがそう伝えてきた。

 僕たちは互いに顔を見合わせて頷く。それは場合によっては一戦やらかす覚悟の確認だった。




 道は一本道なので迷う心配はない。

 やがて奥にぼんやりと明るい空間があった。どうやら部屋のようになっているみたいだ。



「……声も音も出さないようにね」




 エリーゼが振り返り僕たちに言う。

 そして僕たちは無言で頷くのであった。




 そっと中を覗く。

 するとこちらに背を向けて立っている人物がいた。

 戸棚を開いて中になにか締まっているようだ。

 そしてその頭には鼠耳、尻には鼠尻尾が見える。どうやら先程のスリに間違いないようだ。




「いましたねっ。私たちのお金を返してくださいっ!」




 突然、フララランが叫んだ。

 エリーゼが、あちゃー、って顔になる。どうやらもう少し様子を見て行動を起こすつもりだったようだ。

 まあ、僕もそう思うけどね。さすがは空気読めないフララランだ。




「うおっ。おめーらはさっきの……!」




 振り返った鼠獣人の男はギョッとした顔になる。




「悪いけどお金を返してもらって、あなたを衛兵に突き出すわ。人数差もあるし諦めるのね」




 エリーゼがそう言いながら腰から短剣を抜く。

 僕も杖を身構える。

 そして転倒魔法を唱えようとした。




 ――そのときだった。




 僕たちがいる部屋のような空間の地面はなぜか岩じゃなく板張りだった。

 その方が住みやすいから板張りにしたのだろうとそのときは思っていたのだが、これがただの床じゃなかったのだ。




 鼠獣人が頭上から伸びているロープを掴んで、そして引っ張った。

 なにか仕掛けがある? と僕は瞬間に思った。

 そしてそれは正解だった。




「ああっ……!」




 足元が急になくなった。

 いや、なくなった訳じゃなくて下に床板が開いたのだ。




 ――落とし穴……!!




 そう思ったときには僕は底が見えない穴へ落下していた。

 突然来るドシンとした衝撃。

 見上げると頭上3メートルくらい上にタマユラが見えた。そしてその上には手を伸ばしてぶらぶらとぶら下がるタマユラの手を掴んでいるエリーゼの姿があった。

 どうやらタマユラは落ちずにすみそうだ。




「マキラ、フラララン、大丈夫!?」




 エリーゼがそう問いかけてきた。身体能力が高いエリーゼはとっさに開いた床を避けたのだろう。そしていちばん近くにいたタマユラの手を掴んだ。そこまでは僕は理解できた。



「僕は平気」




「……私も大丈夫ですっ。怪我してませんっ」




 僕の真横にはフララランがいた。

 まだ尻もちを着いたような態勢だけど、怪我はないって言ってるし大丈夫なのだろう。




「私はスリを捕まえるわ。マキラたちは脱出方法を探して」




 タマユラを引き上げながらエリーゼがそう言う。

 まあ、エリーゼとタマユラがスリごときに手こずることはないだろう……。なら、その方針で間違いないだろうね。



落とされてしまったのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

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