【1話】告白
「あの…澤西先輩…私…澤西先輩が好きです!」
俺澤西翔は今名前も知らない女子から告白されている…
黒髪のボブヘアの女子…
(可愛い人だな…同じ学年…?でも見た事無い気がする…てか…)
「え…いや誰…?」
「ちょっと!私の事知らないんですか!?」
「ごめん…分かんない…」
「海川奈央!聞いた事無いですか!?」
「あー…聞いた事ある。1年生の子だよね?」
「そうです!で!どうなんですか!私の告白!」
海川奈央1年生で可愛いと2年生の男子の中でもたまに話題に上がることがあったが実際に見た事は無かったが確かに可愛らしい顔をしている。
海川さんは期待の眼差しで見つめて返事を待っている。
「どうなんですって言われても…俺、海川さんとは今が初めましてだと思うんだけど…それで付き合うって訳にも…」
「初めましてじゃないです!」
「そうすか…」
(うーん…好意を寄せてくれてる人だし…これから好きになる可能性もあるかもだし…よし!)
「一旦保留でお願いします!」
「保留って!先輩私、勇気振り絞って告白したんですけど!」
「いやそれは分かるしめちゃくちゃありがたいんだけど…とりあえず友達からってので…」
俺の言葉を聞いて海川さんは不満そうに頬を膨らませながらもスマホを差し出してくる。
「え…何?写真撮って欲しいの?はいチーズ」
「いぇーい!って違いますよ!連絡先!交換しましょうよ!」
「お〜良いノリツッコミ!連絡先ね…分かった…」
(さすがにいきなりこんな迫られても困る…ちょっと逃げよう…)
「じゃあ…連絡先も交換したし、それじゃあ…」
「先輩!私先輩が私の事好きになる様に頑張りますから!見ててくださいよ!」
「あ…頑張ってくださ〜い…それじゃあ…」
「なんで他人事なんですか!もう…」
俺は逃げるようにその場から離れそのまま家に帰宅し、風呂も済ませてベッドに入ったが今日はなんだかとても疲れた…
(なんだったんだ…海川さん…初めましてじゃないって言ってたけど…どこで会ったんだろ…てかもう眠い…)
次の日少し寝不足になりながらもなんとか授業が終わり帰ろうとすると、廊下が少し騒がしい。
「ちょっとあの人って…」
「1年の海川じゃん…てかめっちゃ可愛くね?」
「誰か待ってるのかな?」
(げ…あれ絶対俺待ちだろ…めんどくせぇ…バレないように…階段まで行けば…)
「ちょっと先輩!」
俺の方に聞こえてくる声に一瞬体が止まるも、ここに居るのはほぼ全員2年生で先輩なんていくらでも居る…俺じゃない事を祈り階段を降りようとするがすぐに俺の名前が聞こえてくる…
「澤西先輩!待ってくださいよ!」
「ちょ…お前!目立つなバカ!」
俺の方に寄ってくる海川さんの手首を掴んで、急いで靴に履き返させて下校し始める。
「お前あんな目立ちながら俺の名前呼ぶんじゃねぇ!」
「良いじゃないですか別に…一緒に帰りたかったんですもん…」
海川さんは顔を赤くしながら言ってくる。
「連絡先交換しただろ!何の為の連絡先だよ!」
「してみたかったんですもん…ああいうの…」
「はぁ…別にたまに一緒に帰る位なら良いから次から他の所で待ち合わせにしてくれ…」
「先輩ってクラスで浮いてるんですか?」
「んぐっ!浮いとらんわ!なんだいきなり」
「だって休み時間の時にも1人で居ましたよね?」
「お前休み時間にも来てたの?てか、俺は1人が好きなの!クラスの皆もそれ分かってくれてるから話しかけてこないだけ!」
「本当ですか?私が後輩だからって嘘つかなくても…」
「ついてねぇわ!てか、お前があんな所で俺の名前呼ぶから明日から俺のクラスでの立場が…」
「元々無いんじゃないんですか?」
「おい」
「ていうか先輩さっきから君とかお前とかで呼ぶの辞めてください…」
「え…じゃあ…海山さんで良い?」
「海川です!海川!告白した人の苗字間違えないでください!」
「あぁごめん、素で間違えた。海川奈央さんだっけ?海川さんで良い?」
「まぁ…それで良いです」
「海川さんは駅?」
「はい…先輩は?」
「俺ん家は駅からまぁまぁ近いから、駅まで一緒な感じかな」
「ほんとですか!いつか先輩の家行ってみたいです!」
「お断りしときます」
俺の即答に海川さんは頬を膨らませ怒りを露わにしてポンポンと俺の肩を弱い力で殴ってくる。
「いつか機会あったらな…てか、これから毎日一緒に帰るって訳じゃないよね?さすがに」
「毎日一緒に帰りますよ?」
「あーうんさすがに毎日は無理だよね〜」
「都合の良い耳はこれですか〜?」
そう言って海川さんは耳を強く引っ張ってくる
「痛い痛い!ほんとに毎日一緒に帰んの!?お前こそ友達居るのか!?」
「先輩とは違って居ますよ、友達よりも先輩を優先するってだけです」
「なんでそんなに俺の事好きなんだよ…」
やっとのことで駅に着き海川さんを見送る。
「じゃあ…また明日?も一緒に帰るんだよね?」
「はい…」
そうして家に帰ろうとすると海川さんは俺の袖を掴んで引き止めてくる。
「今度はなん…」
何かを言ってやろうと思い振り返るも、海川さんの顔は下を向いて分からなかったが耳が赤い事に気づき言いづらくなる…
「な、なんだよ…」
そう言うと海川さんは顔を赤くしながらも上目遣いでこちらを見て小さな声で喋ってくる。
「ばいばい…澤西先輩」
さっきまで生意気な後輩としか思えなかった海川さんが今は輝いて見えた。
(っ…可愛いんだよな…)
そう海川さんはちゃんと可愛い、俺がこの子に魅力を感じていない訳では無い。しっかり可愛いとは思っている。顔も良く声も可愛い性格はまだ分からんが少なくとも学年の違う2年生でも聞いた事がある人が殆どの矢神谷高校のアイドル的存在…
それでも俺は海川さんが好きなのか分からない。
「じゃあな…海川さん…」
そして家に帰りソファに座る。
(今日も凄く疲れた…)
母さんや父さんはまだ仕事のようで家で1人でのんびり体を休めているとインターホンが鳴る。
「宅配かな…?はーい」
モニターで確認してみると、明るい茶色の髪色の女性が居た。
「美鈴…?」
ドアを開けると制服姿の美鈴が居た。
「どうしたんだ美鈴」
中川美鈴俺の家の近くに住む幼馴染で家族ぐるみで仲が良く小学生の頃は仲良く遊ぶ事も多かったが、中学に入って以降喋る事も殆ど無くなり全く喋っていなかった。
「いや…あの…さっき海川さんに呼ばれてたでしょ…?」
美鈴は不安そうな顔でこちらを見つめてくる。
「あぁ…まぁ…」
(やっべぇ…いきなり来ちゃったよ…ていうか告白された事俺が言っちゃダメだよな…?言っていいか聞くの忘れたし…)
「ちょっと最近知り合って…」
「そう…海川さんとは付き合ってるの?」
「うぇー!付き合ってない!いきなりなんだお前!てか何しに来たんだよ!」
美鈴は恥ずかしそうにしながらこちらを向いてくる。
「私…翔の事…」
(まさか…)
「翔の事が好き!」
(やっべぇぇぇ!来ちゃったよ!連続で告白来ちゃったよ!まじでどうすりゃいいんだ!)
適当に書きます。コメント貰えたら嬉しいです。褒めて貰えたら更新増えると思います。