表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

私の見た目が好きな彼と彼の中身が好きな私のお話。

作者: 七瀬








俺は彼女の見た目が好きで付き合った。

彼女は美人で、一緒に並んで歩いていると街の男どもが

“俺の自慢の彼女”を何度も見た後、後戻りまでして彼女を見ようと

する奴までいたぐらいの自慢の美人の彼女なんだ!

俺は完全に、“彼女の見た目が大好きなんだ!”

彼女の性格などどうでもいい!

彼女の見た目さえ良ければ俺はそれでよかった。





・・・でも? “彼女は俺の中身がいいと言う!”

俺の中身って? 他のひととどう違うのだろう?

中身という事は、、、? “俺の性格が彼女は好きなのだろうな。”





ふと、何かのきっかけで彼女に“俺の中身の何が好きか訊いてみた?”




『あのさー俺の中身が好きで付き合ったって随分前に言ってたけど?

あれって“俺の性格が好きって事でいいだよな。”』

『違うよ!』

『えぇ!?』

『“あなたの魂が私の大好きだった彼の魂だから付き合っただけ!”』

『・・・えぇ!? そ、それって、ど、どういう事?』

『私の愛した男性ひとの魂があなたの体に入ったのよ。』

『まさか!? “俺の中身って、そういう事なの?”』

『そうよ! そうじゃなかったら、私はあなたとなんか付き合ってないわ!』

『・・・中身って、そ、そんな、』

『病気で彼は亡くなったの、まだ21歳だった。』

『・・・だから、俺と付き合った、』

『“私が心から愛しているのは彼だけ! ずっとそうよ。”』

『・・・俺の事は、好きでも何でもないって事?』

『あなただって、私の見た目が好きなんでしょ! お互い様じゃない!』

『で、でも、それとこれとは違うだろう!』

『違わないわよ! たまにあなたの中の彼が出てくるの、その時が私に

とって一番の至福の時なのよ。』

『・・・や、ヤバいよ、お前さ、そんな、訳の分かんない話誰が信じる

って言うんだよ!』

『そうね、別に誰かに信じてほしい訳じゃないわ!』

『・・・じゃあ、どうして、』

『“先も言ったじゃない! 私は彼を心から愛しているのよ。”』

『・・・・・・』








まさか!? そんな答えが彼女の口から返ってくるとは、、、?

俺の中身とは? 俺の性格じゃなく俺の体に入った彼女の大好きだった

彼の魂が好きだという事だった!

俺は彼女にとって一体なんなんだ、、、!?

俺の事は彼女は好きでもなんでもないのか?






・・・それに、たまに俺の体を借りて彼女が好きな彼が出て来くるって

どういう事なんだ?

俺の記憶が、たまになくなっている事があったのはそういう事なのか?

【空白】の俺の時間を、俺の中の彼が勝手に使っている?

そんな、俺は彼女の事を少しづつ好きになりはじめていたというのに......。

それも違うのか?

彼女はいつだって! “俺じゃなく彼を見ていた!?”





確かに、冷静に考えてあの時の事を今振り返ると、、、?

彼女の目は俺をどこか見ていなかった。

他のひとを見ていたと思い出す。




でも? まだ諦めたくない!

彼女の大好きだった彼はもう既に亡くなっているじゃないか!

こんな形で、彼女の事を俺は好きだと気づくなんて!?

頼む! これからは俺だけを見てくれ!

彼じゃなく、俺だけを......。



最後までお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ