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七 狙われた娘


 グリーン達の乗る船では、グリーンがアリーナの頭に両手を当て、

能力を上げていた。今の倍、つまり通常の4倍の能力にした。


アイラにも同じことをした。


後はアイラが持つシールドを発生する刀が必要だったが、船内には、

その材料になる物が無かった。


アリーナ達の服装は、動き難そうなので隊員のシルバーの断熱服を

手足が出るように加工して着させた。


アリーナの頭に手を当てた時に曾祖父が写った。


それに何かを感じたらしく、グリーンは検査員に曾祖父の時空へ行くように

指示した。


アリーナ達には、鈴の生まれた国の親子を助けに行くと説明した。


その時代にはグリーンの父親の小次郎がいて、宝刀がある事も分かっていたが、

今回はそれには関わらない事にした。


船は城の上空で停止した。


城は戦のない江戸時代に平坦な場所に築城されて、廻りに掘などは無かった。


城の南側に武家屋敷や町人の家が密集していた。


鈴の家もその中にあった。


中庭のある、コの字型をした大きな家だった。


鈴の祖父は其れなりに身分が高かった。


グリーンがこの時空に来たのには理由があった。


異星人にグリーンの計画が知られていたら、鈴の命が狙われて、

鈴の命が無くなるとアリーナ達も消える。

それを防ぐために此処に来た。


検査員は蛾のロボットを放した。

蛾は鈴の家の中庭の木に止まった。


3歳の鈴がいた。見るからに愛くるしい女の子だった。

護衛の男と剣術の真似ごとをして遊んでいた。


鈴はその男を(いのはち)と呼んでいた。正確にはイの8番だった。

イは護衛を表し、8は番号だった。男の本当の名は源太だった。

側には鈴の母親が見守っていた。


すると源太が何かを感じたらしく、母親と鈴を座敷に入れ笛を吹いた。

すると3人の護衛が集まってきて警戒した。


そして塀を乗り越え10人程の黒装束の賊が中庭にやって来た。


やはりと思いグリーンはアリーナに手をかざした。

シルバーの服は黒くなり、黒頭巾と黒足袋を身に付けていた。


女の子を助けて、そして自分の能力を試すように、もしも身分を聞かれたら、

藩主の警護の者だと答えるように指示した。


アリーナを瞬間移動させる用意をした。


中庭では護衛の3人は倒されていた。源太1人だけで奮闘していたが、

賊はまだ7人もいて、源太は応援を呼ぶ為に去っていった。


賊が障子を開けると、立ち竦んでいる母親と小さい木刀を持って賊を

睨んでいる鈴がいた。


賊は3人が座敷の鈴達の前に立ち、その後に1人、外に3人が警戒するため

反対を向いて立っていた。


母親は覚悟を決めたらしく

「私は殺されても良いから、娘の命だけは助けて下さい」


「悪いが娘の命をもらいに来た」1人で立っている賊の頭らしい男が言い放った。


「何故ですか? こんな小さい子の命を奪っても何にもならないでしょう!」

と母親は必死に鈴の命乞いをした。


「上からの命令だ」


「上からって誰ですか?」


「先にうるさい母親からやれ!」と焦れた賊の頭は一番近くにいた賊に命じた。


賊は無抵抗の女を切るのは抵抗があるのか、暫く躊躇していたが、

刀を振り上げ振り降ろした。


カキーンと音がして、母親の前にアリーナが現れた。


両手で小刀の両端を持ち、頭上付近で賊の刀を受けていた。


そして、目に見えない早さで、右足で首に蹴りを入れていた。


賊は横に飛ばされ、隣にいた賊を巻き込んで倒れた。


アリーナは素早く賊の刀を拾い、3人目の男の首に峰打ちをして倒し、

頭の首に刀の切っ先を付きつけた。


急に現れ、3人の男をあっと言う間に倒した。


「お前は何者だ!」頭は驚きながら聞いた。


「私は藩主の警護の者です。家来を連れて帰りなさい!」

首に刀を突きつけられ、頭はじりじり下がった。


先程、逃げた護衛の知らせを受けて、鈴の祖父が戻って来る事を恐れ、

倒れている仲間を外の3人に担がせ、賊は引き揚げていった。


母親は何度も礼をしたいと言っていた。グリーンはアリーナに伝えた。


確か、名前が(妙高)と言う小刀があるのでそれを貰って来るように、

それを母親に伝えると怪訝そうな顔をした。


「その刀は誰も持ちたくない物で、持つ者に災いが降りかかります。

家で保管しているのですが、義父も処分に困っていました。今日の襲撃も

その所為かも知れません。そんな物で良かったならどうぞ。それだけでは

私の気が済みませんので」と言い納屋の奥から小刀と大刀を持ってきた。


アリーナは受け取ると、玄関から外に出て、誰も見られていない場所で

グリーンにより瞬間移動した。

                       

アリーナは船に戻ってきた。


「母の国の言葉が少し話せたが?」とグリーンを見た。


「少し話せるようにした」と言いながらアリーナの持ってきた小刀と大刀

を受け取った。


「この刀は最初にゲーム・・・」でグリーンは話を止めた。


この2人はゲームの事は知らない。


「ゲームって何?」やはりアリーナが聞いて来た。


「ごめん、難しい言葉を使って、遊びかな? 何時の世にも身分の高い人がいる、

その人に色々手を貸しもっと偉くする。偉くなったら成功で、駄目だったら

失敗となる遊び」

「この小刀は最初の遊びで、身分の高い人のために使用されたもので、

アリーナが持っている宝刀とは構造も性能も違う。何処かの惑星の金属で

作成されていて、持つ者の体を蝕む可能性がある」


グリーンは異星人も同じだと伝えようと思ったが、意味不明の言葉に

アリーナは敏感なので止めた。


「調べたら、アイラの体は大丈夫なのでアイラに持たせる。性能はシールド

を破るらしいが、後は不明なので、アイラは私の側で一緒に戦って貰う」


「襲われた親子は、又、襲われる気がするが大丈夫ですか?」

アリーナは不安になり聞いた。


「賊の雇い主と話をする」と言い、検査員に惑星語で連絡を取るように依頼した。


検査員は規則違反だと抵抗していたが、棘の力で連絡を取らされた。


アリーナ達に分かり難くするために、小さい画面で通信した。


黒い球体の頭と、顔部分の中央が黄色く点滅する異星人のロボットが写った。


お互い惑星語で話した。グリーンは蛾のロボットが写した賊の頭のスキャン

を見せて、頭の中に神の声の装置があることを示した。


そしてゲームでは6体で7体目は違反で、またゲームに関係

のない人間を操作した。


それを貴方の上部組織に訴えれば、ゲームは無効になると伝えた。


異星人はゲームの無効は絶対避けたい。


条件があれば聞くと答えたので、鈴の命を狙わないことで相手も承諾したが、

もっと大変な事が起きていると匂わしてきた。


そして、80数年後の時空へ異星人は飛び立った。


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