六 戦闘
悪いことに、暗殺者側の共産軍と連合軍が首都手前で停滞した。
終戦が2年伸びた。東の島国へ総統が逃げたら、まずい事になる。
制空権がなく、潜水艦で海を渡る方法しかなかったが、首都は海から遠く、
潜水艦に乗ることは不可能に近かった。
時空パトロールは、南方に派遣したアンドロイドの軍人に工作を急がした。
南の小さな島に、東の島国は飛行場を作った。
それを危惧した連合軍の大国と消耗戦を始めた。
軍部の内部では反対する者も多かったが、アンドロイドの軍人の工作で、
消耗戦に入っていった。
次に軍人は東南アジアに向かい、成功する可能性が少ない、西方へ進出する
作戦を支持した。
そして、作戦は失敗した。
それにより終戦まで1年程縮まり、東の国の制海権は無くなり、
総統の海外逃亡は不可能になった。
それが分かり、共産軍は動き始めたが、連合軍は動かなかった。
その間に、総統直属の軍隊が戻り共産軍と対峙した。
しかし、総合力に勝る共産軍は激しい砲弾の雨を降らせ首都に侵入した。
総統軍は大打撃を受け組織的な抵抗が出来なくなった。
そして、連合軍も首都に侵入した。
総統が籠っている建物は地下1階で地下道が長く構築されていた。
共産軍は数百名の部隊を制圧する為に派遣したが、激しい戦闘で数十人
が戻って来ただけだった。
兵士の話によると、地下には総統と2人の警護の兵士がいた。
兵士は目で追えない早さで動き、1人は銃弾も跳ね返し、総統も銃弾が
当たっても倒れなかったそうだ。
共産軍は一旦、攻撃を中止してようすを見る事にした。
連合軍にもその話は伝わって来ていて、数百人の部隊を送り込んだ。
が結果は共産軍と同じで、手榴弾を何発も投げ込んだが無駄だった。
連合軍も同様にようすを見る事にした。
総統を警護している兵士を観察していた時空パトロール隊員は
すべてを見ていた。
1階に誰もいないと確認した共産軍は地下に降りる幅5m程の広い
階段を見つけた。
まだ大勢の総統の兵がいると思い慎重に階段を降りて行った。
階段を降りると、前面と右側は壁で左側にしか行けなくなっていた。
それは広い通路であった。
爆撃で、電気もなく真っ暗だったが、急に照明が付き2人の警護の
兵士と総統が突然現れた。
3人はマシンガンを発射しながら近づいてきた。
共産軍も発砲した、銃弾は跳ね返りその場に落ちた。
撃たれて共産軍兵士は次々に倒れた。
真中にいる警護の兵士は凄い速さで手榴弾を投げた。飛距離もあり、
個数も多く、共産軍は壊滅状態になった。
連合軍も数百名の兵士を派遣したが同じ状況だった。
電気が無いのに照明が付くのは、総統に乗り移っている異星人の仕業だと
考えられた。
歴史的に収まるのは不可能になって来た。
最後の手段のアンドロイドの投入を検討した。
しかし、地下なので倒された場合、回収方法が懸念された。
船での回収は不可能で、異星人にアンドロイドの存在を知られる事は
絶対に避けなければならない。
検討した結果、共産軍か連合軍の兵士の姿で投入することが決まった。
数は3体となった。
しかし、共産軍と連合軍は暫くようすを見る事にしたのでアンドロイドの
投入もそれに合わせなければならなかった。