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五 訪問


 検査員の上司も、歴史の修正に駆り出されていた。


グリーンの廻りは検査員だけで警護は薄くなっていた。


ある日、他のステーションで、緑色の少女を見たと検査員に連絡が入った。


グリーンの部屋を確認したが、本人は在室していた。


プライベートの尊重で部屋の映像はないが、グリーンは同じ時間帯で、

他の場所に瞬間移動が出来た。


そのステーションで小次郎とアリーナの記憶を吸収していた。

それで、前回のゲームに関することを全て把握した。


 極めて原始的な方法で、検査員は操られてしまった。


「きゃー!」と、グリーンの悲鳴で検査員は思わず、防護服を着ないで

部屋に入ってしまった。


そして、首に棘を刺され操られてしまった。


グリーンは、検査員に時空を飛行する船を用意させた。

そして、検査員に操縦させ、時空に飛んだ。


小次郎とアイラが回収された時から、16年経った鈴達の住む街の

近くに現れた。


検査員には上空で暫く、待機するように伝え自分は地上に降りた。


そこは小次郎とアイラを回収した場所だった。

石碑があり(永遠の愛)と刻まれてあった。建立主は鈴だった。


グリーンは時空パトロール隊員の様に姿を隠す意識はなく、堂々と

馬車の通る道を歩いて街を目指した。


途中で何かを感じて森の中に入って行った。


鈴が仕込み刀を埋めた事を樹木より聞いて、見つけた。


木の部分は腐って刀身は錆びていた。


グリーンは刀を手に取り、片手をかざすと刀は錆びが落ち、形を変えていき、

刀身40cm程の小刀になった。柄に透明の石が埋め込まれていた。


グリーンは柄の先端の金具を外し、自分の体の一部を詰めて元に戻した。


そして刀身を抜くと透明の石が光った。シールド発生機の宝刀だった。


グリーンは吸収した記憶を応用して宝刀を作成した。

そして街へ向かって歩いていった。


銀色の服で顔が緑色なので、すれ違う人々は、驚いて警戒していた。


馬に乗った3人の男達が、興味本位に近づいてきたが、

次々に気を失い馬から落ちた。


窒素で顔を覆われたからだ。兵隊も5人程来たが同じだった。


グリーンが瞬間移動しないのは、この時代の情報収集をしているからだった。


暫くして、グリーンは街の入り口に瞬間移動した。


通報を受け、街の入口で待ち構えていた保安官達と鈴の夫は、急に現れた

グリーンに驚き発砲したが、銃弾はその場に落ちた。


自然にシールドが出来ていた。


何回も発砲したが無駄だった。保安官達は窒素により気を失った。


グリーンは、鈴の夫が記憶にあったので近づいて行った。


夫は恐れて、後ろに数歩下がった時、首に緑の棘が刺さり、顔から恐怖心

が無くなった。そして従順な目でグリーンを見た。


「奥さんの鈴さんに会いたいのですが、どこにいるのですか?」の問いに

夫が答えようとした時、道の奥から馬に乗った娘が「パパー」と

叫びながら突進してきた。

両手でライフル銃を扱い、発砲してきた。


弾は正確にグリーンの心臓部に当たっていた。

しかも3発も、だが、弾は弾かれた。


グリーンの左側に廻りこんで来たので、顔を狙って窒素の攻撃をしたが、

通常の人間より動作が早く、窒素の塊が、娘の顔の後に出来ては、

落ちる状況だった。


グリーンの後を廻って、正面に出たのが悪かった。


停止した瞬間に、窒素に覆われ、気を失い馬から落ちた。


グリーンは娘に近づき、夫に側に来るように言った。


その時に、道の奥から「アリーナ!」と叫びながら婦人が駆けてきた。


グリーンは顔を見て鈴と判断した。そして、アリーナは鈴の娘だと理解した。


鈴はある程度距離を保った処で停止した。これも武術の技だった。


相手が、何か仕掛けて来ても、対応が出来る距離だった。


その後から「姉さん!」と叫んだ娘が、鈴を通り越し、落ちていたアリーナ

のライフルを拾い、構えようとした。


「止めなさい!」と鈴は妹を制した。


自分達が勝てる相手では無いと判断した。


その時には、街の人々も道の脇に出て、その光景を驚きながら見ていた。


グリーンが鈴に話かけようとした時、街の入り口から、50名程の兵隊が

馬に乗ってやってきた。


緑色の娘の情報は、近くの兵隊の駐屯地にも届いていたらしい。


先頭の隊長らしき男はサーベルを抜いて、近づき厳しそうな顔でグリーンを見て

「この者は捕えて軍で調べ・・・・」で言葉が詰まった。

続けて、穏やかな顔に変わった。


「この人は異国からの、重要な合衆国の客人で、今日この街の鈴さんに

会いに来た。その事を、皆に知らせるように命令された」と言い、

兵隊を連れて帰っていった。


隊長の首には、棘が刺さり操られていた。


その時には、保安官達も気が付き、立ち上がっていた。


そして隊長の言葉を信じて、街の人々を解散させた。


鈴はグリーンに、従順な態度でいる夫と、隊長の話から2人は操られていると

分かった。そして気を失っているアリーナの後に廻り気を入れた。


気が付いたアリーナはグリーンを見ると、腰の拳銃に手を掛けたので

「止めなさい! 貴方の勝てる相手ではありません」と諭した。


「私はアイラと小次郎の娘で、グリーンと言います。鈴さんに会いに来たのは

両親の最後の話を聞くためと、お願いしたい事があります」と話した。


「アイラに子供は出来ていないと聞いていましたが?」


「両親が亡くなった時、ある組織が遺体を回収し、母親の体に居た私を

育ててくれた。訳あって組織のことは言えませんが、本当です」


「それで、あの時アイラと小次郎さんの遺体が見つからなかったのですね。

家の中で話をしましょう。夫が静かなのは貴方が操っているからでしょう?」


「そうです。もう少し、静かにして貰いたいと思いますが、良いですか?」


「分かりました、話が終わったら解いて下さい」

鈴達とグリーンは家の中に入った。


「小次郎さんとアイラの話ですが、男達を倒したことは、

夫には知られていないので内諸にしたいのですが?」


「分かりました。支障のある部分は、彼の記憶から消しておきます」

それを聞いて鈴は話し始めた。


金目当ての白人の4人組に襲われて、鈴が駆け付けた時は遅かった。そして、

襲った男達を倒し、小次郎を殺す罠だと知り、首謀者を倒した事を話した。


「鈴さんが仇を討ってくれたのですね。感謝しています」

グリーンは礼を言った。


鈴がゲームで異星人に操られていたこと、小次郎・アイラ・アリーナが

アンドロイドだった事も、グリーンには分かっていたが。

それは教えてはいけない事だとも分かっていた。


「お願いしたい事は、ある種族の解放の為、それは地球の平和にも

関係することです。その為に、私と一緒に戦ってくれる人を探しています。

先程、娘さんの身体能力を確認させてもらいましたが、通常の人の2倍は

あります。他にはいません。娘さんにお願いしたいのですが?」


「誰と戦うのですか? もう少し詳細な事を教えて下さい」

鈴は普通の親とは違った。自分の育った環境から、

娘達に色々な経験をさせたかった。

それに、断わっても操られると分かっていた。


「戦う相手は能力の高い人間です。今の娘さんより、少し能力は高いです。

でも、娘さんには、まだ能力が隠されており、十分に発揮されていません。

私にはそれを引き出す力があります。詳細な事は言えませんが、

種族を監禁している者を、護衛している兵士2人を倒し、

解放させることが目的です」


「断る事は出来ないと感じました。でも、アリーナは血を分けた私の娘です。

命に関わる事が予想され心配です。それに貴方はかなり強くて、

娘の力がなくても大丈夫では?」


「娘さんは、私が責任を持ってお返しします。それに、これを持って

もらいます」と言って、グリーンは小刀を出した。


「これは宝刀で、一定の時間、持ち主の体を守ってくれます」


「私は人を操れます。人を気絶させることが出来ます。物を変えることが

できるが、それ以外は通常の人と同じです。娘さん以上の能力のある人には

通用しません。瞬間に移動も出来るけど、一旦場所を念じて決めるので

戦闘には向きません。だから娘さんの能力が必要です」


「この刀は小次郎さんが、昔に村から持ってきた物と同じですか?」

鈴は小刀を手に持って聞いた。


「はい、そうです、この刀が娘さんの体を守ってくれます」


「夫には内諸にしたいのですが、期間が長いのですか?」


「この世界の時間では、2日程で戻ってきます。今度行く世界では、

何カ月にも感じると思います。旦那さんを操れるのも3日間で、命令主は、

私より鈴さんに替えて置きます。後は娘さんの決心次第です」

とアリーナの顔を見て答えた。


アリーナは自分の能力が、人より優れているのは自覚していた。


競技ではアリーナに敵う者は居なく、自分の名前の由来のアリーナの活躍を

鈴より聞いていて、実戦を経験したいと思っていた。


「それが正義の為なら戦います。自分の能力を知りたい」とアリーナは答えた。


「私も戦いたい!」と妹のアイラも訴えた。

アイラも、もうすぐ14歳になる。


グリーンはさすがに2人共連れて行く事には気が引け、

鈴が許可しないと思った。


「アイラも行きなさい。そして、姉さんの戦い方を見て来なさい。

グリーンさん良いですか?」


「分かりました。妹さんには、船の中で待機してもらいます。

緊急事態が発生したら、手伝って貰います」

グリーンは、鈴の心の強さに驚きながら答えた。


その日の夜に、グリーンと姉妹は街外れの平原に立っていた。


すると、上部に青く光る飛行体が来て、3人を引き上げていった。


瞬間移動でも良かったが、グリーンは自分以外の人を一緒に移動させるのは、

まだ自信が無かった。


グリーンと担当検査員がいなくなった事は、ステーションでは

騒ぎになっていたが、今回のゲームで隊員・検査員は総動員しており、

グリーン達の捜索は後廻しになった。


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