三 成長
6歳になると、グリーンは人間と同じ食事をしていたが、人間の様に、
排泄物は出なかった。全て、体の組織に変えていた。
でも、体は緑色で、相変わらず窒素は取り込んでいた。
たまに、部下が入口付近に、気絶して倒れていた。
グリーンが、部下の顔の廻りの窒素を固めて遊んでいた。防護策として、
透明な壁で隔離したが効果が無かった。
それで、頭まで覆う防護服を着て対応した。
そして、グリーンの注意を他に向けるため、色々な知識を与え
教育することにした。
グリーンは、色々な事に興味があるようで知識を吸収していった。
歴史・科学・政治経済など、10歳の時には全てを記憶していた。
担当の検査員も交代していた。
グリーンは2歳の時に、抱かれていたのは母親でアンドロイドと気が
付いていた。母親の記憶媒体の中に、小次郎とアリーナと鈴がいて、
3人のその後を聞いた。
「アリーナは戦闘型アンドロイドで両親より少し前に戦闘で故障した。
鈴は人間で小次郎とアイラと出会った時以来から、記憶がないので何処に
いるか分からない」と検査員は答えた。
母親の最後の記憶に写っていたのは、顔に墨が塗られていたが、
鈴だと分析していた。両親の最後の状況を知っているので、会って
話をしてみたいと思ったが、グリーンの廻りは警戒が厳しく、今は無理だった。
担当の検査員は、グリーンに吸収されることを恐れ、小次郎とアリーナ
の記憶媒体を他のステーションに移した。
鈴の2人の娘も順調に育っていた。アリーナが15歳で、
アイラが13歳になっていた。血が遠く、つまり混血なので、
両親の優れた部分を受け継いでいて、頭脳・身体能力は優秀だった。
それに、鈴の頭に埋め込まれた神の声の装置が、鈴の細胞と一体化し、
その細胞の影響を受け継いで、計り知れない力を秘めていた。
鈴は、祖父から教わった武術を2人に教えた。夫は銃の扱い方を教え、
10歳でライフル・クレー射撃、拳銃の早抜き競技では街でアリーナに
敵う者はいなかった。