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玲奈さん、音に耳を澄ませる
雪かと見紛う光景だった。
その雪は落ちることなく宙に漂い続ける。
よく見ると、色とりどりの気持ちだった。
日菜には判っていた。幻視である。
ずっとふれ合っていたい。と日菜は思っていた。
いつかは終わりが来るものだが、ずっとふれ合っていたかった。
「音についてのこうさつ?」
玲奈が疑問を向けると、飾りなのだという。
「日常を非日常に飾り、パワーアップさせて楽しむのです。」
この学校にある音のこうさつ会、略してデス祭。
「これに参加しないと学校生活半分損しますよ。」
佳奈多によると、デス祭の最後は音楽で参加した演奏者の中で、一番よかったチームを選ぶのだそうだ。
「玲奈様も何か演奏なさいますか?」
「やりませんよ、面倒なので。」
沙都は掃除をすることにした。玲奈も連動して動く。
「考え事するだけじゃ不健康になりますからね。」