表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
梅川玲奈さんの日常  作者: 黒牛魚のごった煮
7/24

玲奈さん、集会に誘われる その3 

        ガクモンノイカロス


                 作・若江寝間わかえねるま





 深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを見ているのだそうだ


 いま、あの深淵を覗きたい。深淵が此方を見ているのであれば、ある種の慾望に取り憑かれ気が狂いそうな人間を、どの様に見ているのだろうか。

 私は深淵の一部として深淵そのものになりたいのだ。そんな私を深淵は、受け入れてくれるのだろうか。門前払いだろうか。

 兎も角、深淵の一部に迎え入れて貰うために、人間の生け贄を用意する事にした。私なりの贈り物、気に入ってくれるのだろうか。気に入ってくれるといいな





           第一章


 今現在、日本には知識意欲を促進する起爆剤が無い。といっていい。若しくは、情報難民。

 中高生は教科書をまず読め!と社会が規定している。


 本来は教科書・参考書・専門書と共に書籍が併用されないといけない。

 漫画の内容と、漫画の人物・背景の相関図は使用される時は、普通は併用する。

 教科書は学問の相関図である。参考書も同じ。


 相関図を見てから

 漫画・小説・ゲームを楽しみましょう。が異常な様に


 教科書という名の相関図をまず頭に入れてから

 漫画・小説・ゲームに該当する学問やりましょうは異常である。

 基本とは併用である。

 その為に、知的好奇心の促し、知性に於ける天地開闢てんちかいびゃくの為の、起爆剤が必要なのである。


 そこで、書籍の出番のはずだった。

 書籍の知識系に於ける役割は、意欲を促進する起爆剤となること。

 理数系であっても、文系であっても、体育系であっても、工作系であっても、後天的に意欲を生み出すのは、文章である。

 パッとみで、なりたいと思う人は、特殊と捉えるべきだ。





          演繹と帰納


 全知があるとして、人類に取って、既知と未知に別れる。

 個人にも、既知と未知がある。

 知識はコツや仕組みの集合体である。

 脳は、経験・体験・追憶から、コツや仕組みを見出だしたり、取得する事が出来る。

 経験・体験・追憶・指摘は基本として、雑多なデータが脳の中にある事で、より円滑に吸収することが出来る様になる。

 雑多データがあれば、自身がコツを見出だす事が出来る。

 右記の事柄は、変動率があるものの、同時進行で発生させる事が出来る。が出来ない時もある。





            図説


 コツを教えてと、言った時、人がなぜ、取り敢えず実行する様に言うのか、

 其れは、言語の応酬をしつつ、実は記憶に基づいた図説を行っている為である。

 ので、記憶が無い状態の他人に説明するのは不可能と思っているのである。

 職人がツーカーといわれる遣り取りで、作業を進めると言われている。

 彼らの脳内は見た情報から、記憶にある作業を思い起こし、言葉少なく、手分けて作業や、補助にまわったりするのである。


 他人の口頭の説明で理解している人は、言語そのものを覚えているか、頭の中にその人ならではの模型を作っている人なのかも知れません。





            真理しんり


 とある所にとある男がいました。

 その男は真理の探求を日夜行い、さまよっていました。

 ある日、旅のお爺さんに教えられ、真理が存在しているという場所に行きました。

 真理までの道程は長く、かたく、しんどいものでした。

 そして、遂に男は真理がいるという場所にやって来ました。

 男は真理に問い掛けます

 君を手にする事が出来れば、私はこの世の総てを思いのまま操る事が出来るのか?

 真理は答えます 無理だと

 何故だ!男は怒鳴ります。君は真理だろ、この世の真理が真理である以上、この世界の総てを手に入れたも同じじゃないか!

 真理は男を見上げ、男の後ろを指差します。

 貴方は今まで気付かなかったのですか

 真理は私一人では有りません


 男が後ろを振り返ると

 男が来た道程も、その先も

 そして、今男がいる周りにも真理で溢れかえっていました。


 男は嗤いながら言います



 まるでデブリのようじゃないか





           ミミズ


 アフォーダンスというものがあります。

 アフォーダンスとはサワサワ触って、こんな感じかな、あんな感じかなと使い道を何と無く決める事なのだとか。

 使い勝手を優先してるので、利用が多岐に渡っているのだそうです。


 この考え方を思考に使用してみる


 無目的に触って使用目的が多岐に渡るアフォーダンス

 それに追加で、既知のデータを入れます。

 さらにこれを未知の代物へ使うと、


 よくわかん無いものが有るなぁ、

 似たようなものがあれば良いなあ、

 取り敢えずさわさわして、

 色々弄くって、

 構造を同時進行で予想しつつ、

 既知のデータに基づいて、

 未知を探求してこぉかな!


 と、なるのです。





             瞳


 つまり、目の前にあるものを見ると、脳内で海馬の中にある知識を動員して分析を始めてしまうクセが付くまで、熟練度を上げる。思考の幅を広げます。


 ボールひとつ落ちるにも複数個の既知と未知で構築されています。

 複数個の理論と式の影響を受けつつボールが落ちていく事を、脳味噌で観賞出来る次元へ育てるのも一興である。


 目の前に何某かの現象が有ったとき、学者な皆さんは現象を破壊・非破壊を問わず分解し、分類します。

 そして、国語・社会・理科・数学(算数)等々として、生徒がそれらを吸収します。

で、あるなら、それらを脳の中で再構築する事が可能ということ。



            結論


 そもそも理数系も文系も体育系も、脳の構造的に熟練度が増す度に言語説明が図説化していくのだから行く果ては、理数系と文系と体育系の集合体を造り出すことが、学を目指す人達の完全形態といえる。のかも知れない。

 次章ではついにしん・・・・





 ドシャッ

 ベッドに仰向けで寝そべって本を読んでいた女の顔の上に、本が落ちる。

「あぁ、もうウザイ!」

 女は顔に落ちてきた同人本を掴んだ。

 大あくびをしながら、ベットから上半身を起こす。

 本を投げる。床に落ちた音が聴こえる。

 バタッとベットにうつ伏せになる。

「な~が~い~。この本、面倒臭いぃィ」

 女は読み始めて五分の一位読んで力尽きていた。

「結局、私しかこの本買ってないし」

 確かに数人いた内で本を買っていたのは、この女だけだった。

「にしても、・・・・アレ?」

 ベットに起き上がり、机の上に置いてあった大判の本を画板変りに、ノートにペンを走らせる。

 十五分位してからだろうか。女の表情が蒼くなる。

「・・・・もしかして・・・黒歴史?」

 女は何処か宙を見据えている。考え事をしているらしい。

「と、取り敢えず、ご飯食べなきゃ」

 女がフッと見えなくなり、バタンッと音がなる。何処か遠くで幽かに音がする。


「お嬢様、帰りましょう。」

 声のした方へ目をやる。今まで明るい部屋の中を見ていたので、少し目が慣れるまで時間が掛かったが、少女の目と会う。

 少女はベランダのへりから顔を覗かせている。

 もう一度部屋の中を見る。女は戻ってくる気配はしない。

「一応、下を見てきて下さい。」

 少女の顔が、縁から消える。

 合図だろう、白い布を球状にしたものが、下から空中に出てきた。

 お嬢様は、ベランダの縁に足をかけ、庭へと飛び降りる。

 二人は塀を乗り越え、住宅街の夜道をひた走る。昼日中より、夜を走る方が心地良かった。

「お嬢様、最早ああいった事はお止め下さい。」

「いつも通りに呼んで」

「・・・ネルマお嬢様、あんな事はお止め下さい。」


 ブースの前にいた女の一団、その中で偶然あの女が本を買うのが見えた。

 私が苦心して書いた同人本、途中で放り投げていた。

 しかも、その後の表情。察するに気付かれたのだろう。

 私は嬉しくなった。もしかしたら仲間が増えるのかも知れない。

「ネルマ様どうかなされたのですか?」

「生け贄が増えたので嬉しく思いまして、評価はさんざんでしたが、・・・・・楽しみです。」

「ところで、誰かに見られたらどうされるのですか?」

 ネルマはニヤリと笑う。

 そして少し大きく息を吸った。


「黄緑色の小人が追っかけてくるぅうううぅう!」


 お嬢様はゲタゲタ豪傑笑いをしながら、何度と無く大声で叫びつつ、暗闇の住宅街を疾走していく。


「おいたわしや、ネルマお嬢様。テンションが上がりきって仕舞われたのですね。」

 少女は主人に置いていかれないように、全力で後に続くのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ