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マスカブレード  作者: 黒野健一
第六章 裏/霧
97/120

97発想

短くてすみません

 この街には不可解な事件が起きている。

いや、起きすぎている。

仮面を被った謎の怪人たちの殺人を始めに、奇妙な事件が頻発している。

そんな中、一度仮面の怪人たちとの戦闘に巻き込まれた経験がある一人の刑事が、仮面にまつわる事件を担当することになった。


『仮面のストーカー連続殺人事件』


被害者は全て女性、それも殺害される直後に「変な仮面を被った見知らぬ男に付きまとわれている」というもの。

警察は当初、怪人事件に便乗してストーカー行為に及ぶ変質者が増えてきたと認知していた。

だが、この事件には不可思議な点が一つある。


初の事件では『容疑者と思わしき男性が被害者と共に死亡していた』のにも関わらず、同様の手口、さらには同様に

容疑者に浮かんできた犯人が次々に死亡していく事件が多発しているのだ。

いくら仮面の怪人騒動で悪行を怪物の仕業としてもみ消すチャンスだとしてもそんな発想をする人間が何人もいるはずもない。

しかも、殺しの手口や、被害者と共に死ぬ容疑者、被害者が生前ストーカーの特徴として挙げていた仮面の形や模様が一致する。

つまりこれは……。



「村上、また被害者だ」

「先輩……これでもう死んだ容疑者も合わせると死人が二桁に……」

「とにかく犯行現場に行くぞ」


 犯行現場、それもいつも通りのストーカー被害者宅の家。

刃物で刺されたかのような傷跡が二人分。

そう、この事件でもまた容疑者が共に死亡していた。


「凶器は見つからず……だが殺害方法はいつも同じく、そして容疑者も同様に死亡する」

「これは……人間の仕業なんかねぇ」


村上と呼ばれる若い刑事の上司である正堂がため息をつく。


「……」


村上の頭の中で一つと一人が思い浮かぶ。

『月村詩朗』と『仮面』彼は、二度仮面を被り、村上を助けたことがある。

そして、この仮面の怪物たちに専門的に対処する組織の存在が彼を匿っていること。

あるいは、対仮面の怪物のために戦わせていることを知っている。


「詠さんの弟くん……」

「おいおい。お前仕事中はいくらなんでも女のことを考えんなよなぁ~恋愛脳になりすぎだぜ」

「い、いえちがいまっす!! 自分はただ……」


気にしていた。

仮面の怪物と戦えるのは仮面の怪物の力だけではないのか?

今この街で悪と戦えるのは、自分達ではないのでは?


「いや、俺たちにもできることがあるはず……正堂さん」

「ああ……?」


村上が何かを思いつき、決心がついたように見えた。

部下が覚悟を決めて何かを言おうとしている。

それを真摯に聴かない上司などいない。


「話せ」

「俺、『ストーカー』になります」



……村上の頭にたんこぶが一つできた。


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