表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マスカブレード  作者: 黒野健一
第三章 変身/恋心/失われた笑顔
45/120

45女の行方

「そ、それでその女は……!?」

詩朗は村上がこの家に来た理由とその途中で出会った妙な仮面の女の話を聞いていた。

詠にガーゼを当てられた村上が、詩朗の質問に答える。


「そのまま、どこかへ……腹部を刺したのに、かえって元気になったかのように」


それは村上の足より速く、というより人間の速さではなかった。

陸上の選手の全力疾走と並ぶ速さで、それなのにまるでスキップするような軽い足で動いていた。


「あの女……あの時と同じく……」

村上の言うあの時とは、河川敷でのことだ。


「…………」

詩朗が村上の視線に気がつく。


「僕の部屋に来てもらえますか……?」

「……ああ」


詩朗の自室にて、布団の中に潜りこんだ復讐の魔刃を詩朗が取り出す。

そしてそれを自分の顔の隣に持ってくる。


「やはり、君があの時の……」

「はい、彼らは魔刃といいます」


詩朗は自分の知りうる魔刃の情報を伝えた。

魔刃、かつて人類を支配した者達。

村上は完全に飲み込めなかったが、だがそれを嘘だとか作り話だとは思わない。


「マジン……魔刃か」

以前より、この街には常識から外れた存在がいることに薄々気付いていた。

だが、村上はそれをどこかで認めたくなかったのだ。

自分の力ではどうにもできない悪の存在など、この世にはない。

それは傲慢のようなもので、それは希望のようなものだ。


本気を出せば、死ぬ気でやれば、成せないことなどないと。


「……し、ろうくん……俺に力を貸してくれないか」

「……刑事さん……?」


「あの女を、止める……!!」

魔刃……人間の肉体を奪う怪人。

村上星の力では敵わないのは、彼が一番わかっている。

それでも、今こうしている内に街の人々に危険が及んでいるかもしれない。


「……オイ詩朗、お前Saverシステムはどうすんだァ?」

詩朗の手の中の仮面が彼に問いかけた。

魔刃の力を抑制し、精神汚染を食い止めるための装備が今はない。

先の戦いにて破損したため、天野博士による修復と改造が今行われている。


魔刃の精神汚染の耐性がある『刃覚者』ではない詩朗は、魔刃の力を使うたびに

復讐の魔刃に精神が侵されていく。

それは故意で食い止めれるものではない。

人間が、超常的能力を魔刃から借りて使用する……そのツケだ。


「……部隊のみんなに連絡をする……だけど、装備の修復や応援を待っているわけにはいかない」

街に放たれた魔刃。

まだ数分しか経っていないが、おそらく数人は襲われているはずだ。

魔刃の情報を集めている夕河なら、もう気付いているはずだ。


「いきましょう、刑事さん!」

詩朗は携帯電話を片手に、もう片手に仮面を持ち、家を出た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ