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マスカブレード  作者: 黒野健一
第七章 終幕/仮面/舞踏会
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118エピ/

 剣之上市で起きた謎の怪人たちによる騒動は、結局、集団錯乱事件だとか、カルト教団のテロなんてことになった。

ただ一つのオカルトサイトに集まる者達を除いて、現地の住民も、あのときみた怪物じみた連中は、きっと恐怖心からの幻覚だとかと囁き合っている。


「……剣之上市仮面の怪人事件……」


オカルトサイトの管理人を続けることにした夕河暁は以前まで使っていたサイトを閉鎖し、新たなサイトを作り上げた。

それは、仮面についての事件を中心に置いたオカルトの中でも特殊なサイトであった。


「この街以外にも、仮面にまつわる奇妙な事件は、少なくない……」


サイトの更新を済ませた夕河は、ディスクトップから目をそらし、赤木霧香から受け取った仮面を見つめる。

彼女が伝えてくれた復讐者の、月村詩朗の最期の言葉。


「オマエの笑顔を優先しろ、か……」


笑顔のために怪物となり、そして今はただの物体となってしまった彼を見て、とてもじゃないが、心の底から笑顔になれる気分じゃない。

ただ、彼女は彼の意思を、彼が守りたいと思っていたみんなの笑顔がこれからも守られることを望んでいる。


 かつて魔刃に襲われ、家族を危険にさらした彼女は、高校卒業後、一人暮らしをはじめ、両親に迷惑をかけないようにと、最近アルバイトを始めた。

魔刃……もしくはその他の超常的な『何か』がまだまだこの世界には存在する。

そう確信した彼女は、月村詩朗を、特別な友人だった彼の願いを継いでいこうと決心したのだ。


「……本当に、それがお前の笑顔なのか?」

「ッ、えぇ!?」


もうしゃべることも、特殊な力もない、ただの仮面のはずのそれが、言葉を放った。

幻ではない、いつもの、彼の声でだ。


「月村君……月村君!!」


だが、返事はいつまでたっても帰ってこない。

やはり幻聴だったのか?


「私は……」


仮面を見つめ、そして幻だろうと、なかろうと、彼女の決心は揺るがないことを表明する。


「私も、君の笑顔が好きだったんだよ、詩朗君」

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