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マスカブレード  作者: 黒野健一
第六章 裏/霧
103/120

103集合/襲撃/黒き獣

最近読み返してるんですけど、いろいろ設定とか口調とか変わっちゃってますね。

読者の方には脳内補完をお願いします。申し訳ない、次回作いろいろ決まってて今このマスカブレードをいかに早く完結させるかで頭を悩ませてます。

剣之上市、この街でもっとも誇らしいものはなにかと住人に聞けば、およその者はこう答えるだろう。


「イエローチャイム本社」


時刻はちょうど昼休みごろだった。

普段通り、社員が昼食や休憩をしていたその時に、予期せぬ来訪者が現れた。


一人は厚着の白いコートの男。

一人はその男と手をつないで歩く、ぬいぐるみを持つ少女。

一人はそのぬいぐるみの顔を覆い隠す仮面。

一人は数日前にここを訪れた少年。


「追跡者は社長さんを迎えにいけ」


白いコートの男が指揮を執る。

この集団の中で力関係は大体同程度ではあるが、彼が指揮をとるのはシンプルな理由。

彼が一番まともな思考をするからである。


「『糸』ちゃんも連れていくけどいい?このぬいぐるみじゃ歩けないし」

「たっく……今日までに体を調達しとけって……あぁ、もういい「糸」たのむぞ」

「らーじゃあー」


ぬいぐるみを片手に、まったく威厳の無い敬礼のポーズをとる。


「殺戮者、おめーはとにかく殺せ。社長と何人かの人質がいれば交渉できる」

「どんぐらい?」

「……7割だ。3割と社長には手を出すな」

「ふっふ、略奪者にしてはずいぶん大盤振る舞いじゃん?」


少年の皮を被った怪物は、まるで本当に無垢な少年がこれから遊ぶように目を輝かせている。


「俺は交渉に来た奴らを社長まで案内する。いいかお前ら、今回は交渉が目的だ。奴らに手を出すなよ」


略奪者、白いコートの男がそういうと、少年がいつも教室で普通の子供たちと同じようなテンションで手を上げる。


「はーい、はーい。もしも向こうから手を出して来たら?」

「……交渉決裂だ。社長も奴らも皆殺しだ」


それを聞いて少年は満足そうな笑みを浮かべる。


「でさー傍観者はどこなの?」


ぬいぐるみの被っている仮面が声を上げる。


「あいつは別件で動くらしいぜ。なんでもあの人間と悪だくみしてる」

「あの人間のナイフ、昨日使ったら変なのできた」


ぬいぐるみを持つ少女が昨日の話をする。

人を魔刃のなりそこない、知能を持たない全身刃の怪物を生み出すそれを使った。

だが、どうにも自我をほんの少しだろうが残したまま魔刃と化していた。


「……まぁ、ほっといてもいいだろ。もしこの計画に支障がきたすようなら、俺が排除する」


4体の怪物たちは、イエローチャイム本社にそれぞれの役割を果たすために行動を開始する。

そして、その作戦会議を遠くのビルの屋上で覗いていた者が1人存在した。


黒く、オオカミを模した仮面を被った男だ。


「みっ……たぞ。昨日の……やつ、ら」


男の仮面からは、黒煙が漏れ出しその身を多い隠す。

建物の上を駆け抜ける風に吹かれ、その黒煙がゆらり、ゆらりと猛獣の毛の様になびく。


「……す……やつらは……一体、らず……ッ」


狼の仮面の男の両腕は遠くにいる獲物を残酷に引き裂くがため爪がむき出しになる。


「ハァッ……」


獣が吐息を吐くと、瞬く合間にその場から姿を消す。

その場に残すは黒き煙と、ひび割れた地面。


男、かつて村上星とであったそれは、ただ怪物を殺す怪物となり果てて、狩りの標的へとコンクリートの屋根から屋根へ駆け抜ける。



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