りんご飴
*この短編は遥彼方さまご主催の「夏祭りと君」企画参加作品です。
衆目の中キミは飴を差し出して
浴衣の私を動けなくする
親友だと思った女の子たちが
「リンゴちゃん、リンゴちゃん」
「甘くて酸っぱい」と歌っている
キミの悪友たちと言えば
キミの後ろを取り囲んで
りんご飴の持ち主が代わるのか
ニヤニヤしながら待っている
私は結構冷静で
「受け取ったらお付き合いなのかな
それとももらうだけでいい?」
なんて言えたらいいのに
私は早く逃げ出したくて
黙って首を横に振るだけ
どうしたらいいかなんて
習ってない
あのりんごはどうなったのかな?
花火の映る暗い川面に
沈んでいってしまったろうか……
小5の私は児童会委員をしていたけど、中身はてんで子供で、全く対処できませんでした。
ごめんなさい、キミ、ごめんよ、りんご飴。