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王子様と義妹と三人で遊びました

それから数日後、母から王子がくるから準備しなさいとお達しがきた。

「とうとうくるか」

と、まるでわかっていたようにマリンは呟いた。

「そこまで未来予知できるの?」

と、マリンに聞くと

「違うわ、あの反応見たら好意を持たないわけがないってこと。きっとお姉さまを婚約者にする気よ」

と、諦めたような口調で言った。

「もしかしたらマリンかもしれないわよ」

と、私が言うと、マリンは首を振った。

「王子の好みは包容力のある女の人なの。だから主人公も包容力があってエロいや、なんでもないわ。とにかく、うまく遊んで穏便にお友達止まりにしましょう」

マリンも穏便に、という事は頭に入っているようだ。確かに王子は可愛らしいが好みではない。

それに、私の好きな人はずっと変わらないのだから。

あの人の事を考えているとマリンはニマニマしながら私の顔を覗き込んでいる。

「な、なによぉ」

「いいえー!私もそっちとくっつくほうが超円満だなぁって思っただけ!」

もーっと、私が言うとマリンはドレスえーらぼっと言って部屋へ逃げてしまった。

私もまもなくメイドたちに捕まり着せ替え大会が始まってしまった。




着せ替え大会も終わり、王子が側近を伴ってリコット家の屋敷を訪れた。

「王子と思わず友達として接して下さい」

お茶を飲みながら王子はニコニコと笑っていった。大人になったらはともかく今は小さな子どもだ。特に用心する事ないだろう。私はそう思い笑顔を返した。

「ありがとうございます王子、仲良くしましょう」

そう言うと、王子は顔を赤くした。

マリンは隣で顔を歪めそうになっているので後ろから腰を軽く叩いていおいた。

「僕の事はケイトとお呼び下さい、あと敬語もなしがいい」

「あら、では私達もリザと妹はマリンとお呼びくださいな」

「よろしくお願いします、ケイト」

「よろしく、リザ、マリン」

私達は早速遊ぶことにした。

マリンといつもしているのは本を読んだり、マリンが水の魔法で作ったボールを投げて遊ぶのだ。

「絶対割れない強力水風船」と、マリンは命名していた。

男の子だからボール遊びがよいだろうと、私たちは中庭に出た。

マリンは噴水からいつもの風船を作り出し、投げてみせた。

ケイト王子は目を輝かせてそれを見ている。

「投げてみて、こうするのよ」

ケイト王子にボールをもたせ、腕を持って投げる動作をレクチャーする。

「あはは、なんか不格好」

マリンはぎこちなくボールを投げるケイト王子をみて笑った。

「マリン、ケイトははじめてなのよ」

「そうだぞ!すぐうまくなる!」

王子もムキになってボールを投げる。そのうち白熱してしまい、メイドや側近が呼びに来るまでキャーキャー叫びながらボール投げを楽しんだ。

「今日は楽しかった、マリン、今度は負けないからな」

「勝負ではないけど私に勝てるとは思わないで下さいね」

マリンとケイト王子はなんやかんやで仲良くなっていた。元々マリンはお転婆な所があったから気が合うのだろうか。

「リザ、また来ます」

「ええ、また来てくださいね」

ケイト王子は私の手を取ってその甲にキスをした。

「また」

名残惜しそうにケイト王子は私の手を離し、帰っていった。

「なんという色気、5歳とは思えない」

マリンは顔を歪めながら呟いた。

「しかも私にしないとか、完全に敵認定かよ、上等」

「マリン、その口調はお客様が完全に帰ってからね」

王子の馬車を見送りながら、私はこれからの事を考えて、少し気持ちが重くなった。



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