義妹は前世を思い出しました
※5/31 改行修正、一部加筆しました。
そして月日が経ち、私は8歳、マリンは5歳になった。
私はお母様そっくりの少しキツめの顔でほかの令嬢よりも少し背が高かった。
マリンはブロンドの髪がサラサラとした愛らしい顔をしている。
前の世界では醜さが顔ににじみでた可愛さだったが。
マリンのシスコンぶりにもなれてきた頃、マリンは突然おかしな事を言いだした。
「大変!このままだとお姉さまが悪役令嬢になってしまう!!!」
大きな目を見開き、マリンは私を見て叫んだ。
「あく?え?悪なの私?」
何かの本の影響かしら、確かにわたしはキツい顔をしているけど、うーん、また何かのごっこ遊びかしら?と、私がのんきに考えていると、マリンはわーんと火がついたように泣き出した。
当然そばにいたメイドのアリスもびっくりしてマリンを抱きかかえた。
「きっと怖い夢を思い出したのです」
アリスはマリンを抱き、驚いた私にフォローを入れる。
しかし?わーんあくやくれいじょーー!!と、泣き叫ぶマリンはとてもいつものマリンとは違った。
そしてそのままマリンは自室のベッドに連れて行かれ、その日は私はマリンに会わせてもらえなかった。
次の日、やっぱり心配になった私は朝イチでマリンの部屋へ行った。
昔母からもらったお下がりの扇子を持って。
部屋に入ると、マリンはベッドの上で必死の形相でノートに何を書いている。
声をかけようか迷ったが、フランクな感じで声をかけることにした。
「マリン、マリン、ほら扇子見つけてきたの。これで悪役?ご令嬢ごっこができるわ」
笑いながらかけよる私に、マリンは目を大きく見開いて。
「だめだ、お姉さま呑気すぎる、このままじゃ。私が守らないと」
と、呟いていた。
「マリン、大丈夫?」
私がマリンの顔を覗き込むと、ガシッと腕を掴まれた。
「ま、マリン?」
「お姉さま、よく聞いて。来週の后妃主催のお茶会、あれでお姉さまは第一王子のケイト王子に見初められる。本来は私が婚約者の立ち位置になるけど、歴史が変わっているから、狙われるのはおそらくお姉さまなの。それから7年後、この世界に異世界から女の子が召喚される。その女と王子はあっっという間に恋に落ち、令嬢の口からは言えないような行為を繰り返し、私かお姉さまは捨てられてしまうの!!」
早口で捲し立てられて私は軽くパニックになった。
婚約者?異世界?捨てられてる??口から言えないような??
「あの、マリン、理解が、」
「本来お姉さまは悪女マリンと継母、そしてあのろくでなしエロオヤジのせいで15で命を落とすの。そして私は強引に王子の婚約者となった。でも、異世界から来た女のせいで私の立場は没落。悔しさで殺そうとするも失敗、そして処刑される。そういうシナリオだった・・・・」
マリンはそう言ってノートをたたんだ。
「昨日覚醒元々の話と違うから大丈夫かと思ってたけど異世界からの訪問者は確実なの。王子が私たちに関与しなければ行ける話なんだけど、お母様と国王ご夫婦が仲がいいからそれも避けられないと思うの・・・」
マリンは私をおいてけぼりにして話を進めているが、彼女は未来でも見てしまったのだろうか?
それに、なぜ前の私がいた世界のことを知っているのだろ。
「・・・・マリンは、未来を見たの?」
と、私が言うと、マリンは困ったように笑って肩を竦めた。
「うん、そうね、そうなの。でも急なことでパニックになって、ごめんなさい」
マリンはそう言って悲しい顔をする。
彼女の性格が今になってから嘘なんか1度もついたことなんてなかった。
それに、あの世界の話も、私が死んだ歳もあっている。せっかく勇気を持って話してくれたのに、私が信じなくてどうするの?
私はそう思いマリンを抱きしめた。
「私も理解が追いつかなくてごめんなさい、でもマリンは嘘なんかつかないもの、そうね、きっと、そうなるのね・・・・」
王子、幼い頃に何度か見たけど赤ちゃんだったし全く印象もないし興味もない。それに、私には、
「それに、婚約者?の話が私に来ても断るようにお母様には言うわ」
「お姉さま・・・ぽわんとしてるくせに心がしっかりしてほんと大好き、マリンはお姉さまをぜったいに守るからね・・・ 」
18禁のゲームの設定などに負けてたまるかと、マリンは私を抱きしめ返しながら呟いていたが聞かないことにした。