父親との団らん
「ただいま。」
「お嬢様、お帰りなさいませ。お体の方は如何ですか?」
家に入ると同時にお手伝いさんが玄関までやってきてくれた。
「うん。もう大丈夫みたい。」
薬は既に効果が切れたみたいだが、もうそれほど痛く無かったので良かった。
「それは良かったですね。お食事に致しますか?」
お腹はそれほど減ってないんだよね、どうしようかな。
「少ししてから頂くことにしたいと思います。」
「分かりました。」
部屋に戻り、制服から部屋着へと着替え、今日の復習と宿題をやることにした。
「ふぅ…お終いっと。」
そろそろ小腹も空いて来たし、夕食を食べに行くことにした。
「香織さん、夕食をお願いします。」
「直ぐにお持ちしますね。」
キッチンへ行くと、テーブルに父親が居た。
「あれ? お父さん珍しいね。」
「今日は仕事が早く終わったんでな、明日香の顔を見たくて来てしまったよ。」
「そうなんだ。」
椅子を引いて父親の前に座る。
そこに香織さんが夕食を並べていくのだが、置いたのは私の分だけだ。
「お父さんは、ご飯食べたの?」
「ああ、スマンが先に食べさせてもらった。
しまったな、明日香がまだだったのなら、待ってるんだったよ。」
父親はとっても残念そうにそう言った。
「仕方ないよ、じゃあ、いただきます。」
そんな父親を他所に私は夕食を食べ始めた。
相変わらずここのご飯は美味しい。どうやったらこんなに美味しく作れるんだろう?
「それにしても明日香は本当に美味しそうに食べるなぁ~」
目を細めて嬉しそうにしていた。
「だって、美味しいんだもん。」
「そうかそうか。それで学園の方はどうなんだい?」
「ん~~、普通?」
「普通って何だよ。」
「友達とお話しして、勉強して、部活をしてって感じ。」
「楽しいか?」
「とっても♪」
「そうか…なら良かったな。」
もしかしたら解決したとは言え、例のイジメのことで気にしているのかもしれない。
折角なので学園での生活を話すことにした。
「…でね、遥ちゃんがね、そこでボケるから、私がツッコまないと駄目なんだよ~
私そんなキャラじゃないと思うんだけど、お父さんはどう思う?」
「はははっ、そうかそうか。明日香がツッコミ役かそれは是非見てみたいものだ。」
「え~! 嫌!」
「そりゃ残念。」
こんな感じで父親との会話を楽しんだ。
「…あ、もうこんな時間。」
時計の針は11時を示している。
香織さんはいつの間にか帰ったらしく、親子の会話を邪魔する人が居なかったのでこんな時間になってしまったのだ。
「じゃあ、私はお風呂に入って寝るね。」
「…久々に一緒に入るか?」
そんな爆弾発言をニヤニヤしながら言ってきた。
普通、小学生ならまだしも、高校生になってまで父親と一緒にお風呂なんかは入れないと思う。
なので私はジト目で父親を睨んだ。
「じょ、冗談、冗談だって! 分かったからそんな目で睨まないでくれ!!」
「お父さんのエッチ! もう知らない!!」
「ぐはっ!」
どうやら父親へのクリティカルヒットになったらしい。
私はそんな父親を放置して、お風呂へと向かうことにした。
…まさか覗きには来ないよね?
・・・・
お風呂から出ると、テーブルに置手紙が置いてあった。
~・~・~・~・~・~・~・~・~
明日香へ
お父さんは仕事に行ってきます。
戸締りはしっかりとすること。
今日は明日香と話せた楽しかったよ。
お蔭で仕事が頑張れそうだ。
おやすみなさい。
英彰
~・~・~・~・~・~・~・~・~
「そっか、仕事に行っちゃったんだ。」
何時ものことなのだが、ふと一人が寂しくなってしまった。
「昔は一人が当たり前だったんだけどなぁ~」
基本私を怖がる人ばかりしか居なかったので、誰も寄ってこないが正解なのだが…
唯一、一緒に居てくれたのは母親だけだった。体が弱かったから俺が高校に入る頃に亡くなってしまったけどね。
もし、今も生きていたとしたら、私が死んだと知ったら悲しんでくれただろうか…
父親? 父親は知らない。物心が着いた時にはすでに居なかったからな。どこの誰かも全く知らないのだ。
今の生活は、みんながみんな私に優しくて良くしてくれる。だからこそ寂しく感じるのかもしれない…
さてと、今日の出来事を日記に書いて寝るとしますか。
明日もまた頑張ろう。
おやすみなさい。




