部長
朝起きて、身支度を整え、朝食を食べることにする。
お行儀は悪いが、昨日のお母さんの言葉が気になったのでTVを点けてみた。
『先日、元白百合学園の生徒だった女性3名が逮捕されたとのことですが、こういったお嬢様学校でも事件って起こるものなんですね。』
『ええ、イジメとはなかなか難しい問題でして、例えイジメていた人が居なくなったとしても、次のいじめが発生してしまうんですよね。
これは何処でも起こりうる話で、学校、会社等、人が集まる場所では避けることが出来ない問題なんですよ。』
『そうなんですね。』
これって、実名は報道されてないが、例の3人の話かな?
退学だけでなく、その後もしっかりと動いてくれたみたいだ。
『それにしても白百合学園と言えば、今騒がれている動画なのですが、これも白百合学園では無かったでしたっけ?』
『ええ、局としてもぜひとも名乗り出て欲しいと思っているのですが、中々難しいみたいですねぇ~』
『肖像権の関係でお見せ出来ないのが残念ですが、これ、かなりの美少女ですよ!』
『ええ、かと言って学園へ問い合わせる訳にもいきませんからね。
それでは次のニュースです…』
「お嬢様は、名乗り出ないのでしょうか?」
突然声を掛けられ、ビクッっとしてしまった。
「お、驚かせないでよ…あーびっくりした。
今の所名乗るつもりは無いよ。」
「そうですか、残念です。」
「…もし名乗ったらどうするの?」
「もちろんスカウトが来て芸能人になられるでしょうから、私がマネージャーに立候補しようかと。」
「芸能人って…」
「そして、有名男優を捕まえて玉の輿に。」
「それが目的?」
「はい。」
「他には?」
「有りませんが?」
「…学校行ってきます。」
「行ってらっしゃいませ。」
ここ数日の付き合いしか無いが、お手伝いさんは結構変わった人なのかもしれない…
学園に到着すると、報道陣がちらほら見えた。
「はい、現場の大滝です。
今白百合学園前に来ております。まだ早朝のため生徒はあまり見かけませんが、インタビューをしてみたいと思います。
えっと…すいません、噂の人物について何かご存知ないでしょうか?」
あ、部長だ。
「いいえ、私は存じませんわ。お役に立てず、申し訳ありません。」
あれ? 部長じゃない!?
「そうですか、ありがとうございました。」
「それでは、ごきげんよう。」
にっこり笑顔でカメラから去って行った。
そっか、部長って双子だったんだ。
さすがは双子だ、良く似ていたな。
あれ? こっちに来た。
「やぁ、明日香さんじゃないか。」
「…部長…ですか?」
「誰に見えたんだい? 私は悲しいぞ、部員にまで忘れられてしまうとは…」
「いやだって、さっき…」
「ああ、あれは外向きの顔だ。一応お嬢様学校のイメージも有るしな。」
「は、はぁ。」
「それにしても、最近門の前に人だかりが有ってジャマなんだよね。何が有ったんだか…」
「部長は知らないんですか? 例の動画のこととか。」
「動画? 知らないなぁ、ああ! 噂の人ってその動画の人のことなのか。
いやぁ~知らなかったから適当に答えちゃったよ。あはははっ。」
結構適当な部長だった。
「おっ、そろそろ予鈴が鳴るぞ? 急がなくて良いのか?」
「行きます!」
「じゃあまた部活でな。」
そう言って豪快に手を振って去って行った。
「ある意味凄い物を見た…」
私は部長のあまりのギャップ差に驚いたのだった。




