保険医
しばらくして理事長室に山下先生と、保健医の梓先生がやってきた。
「梓です。何か御用ですか?」
「確認して欲しい物が有るんだが、良いかな?」
「え? ええ、かまいませんが。」
私は先ほどバックアップしたメモリを自分のスマホに入れ、動画を再生させた。
まぁ、音声くらいなら聞かれても良いだろう。
・・・・
動画が終わり、梓先生の手からスマホを返してもらう。
正確には動かなくなった梓先生の手から勝手に返してもらっただが。
3人は青ざめている。特に梓先生の顔色は悪かった。
「酷い…」
ようやく出した声がそれだった。
「記憶が無いので、いつ何処で有ったのかは分かりません。
雰囲気的にはおそらく体育館倉庫じゃないでしょうか。」
「私は動画を見たから分かりますが、間違い無くこの学園の体育館倉庫です。
それにその動画の子って綾小路さん、貴方よね…」
「そうですね。」
「「・・・・」」
理事長も山下先生も想像以上のことだったみたいで、まだ復活していない。
「理事長! これはいったいどう言うことなんですか!!」
「いや、その…」
まー説明なんか出来ないよな。
「これで、私の怒りが分かってくれたと思います。
では、警察に行ってきますので。」
私が扉を開けようとすると、理事長が言ってきた。
「ま、待ってくれ、こんなのが世間に出たらこの学園は終わりだ。
頼むから、待ってくれないか? この通りだ!」
理事長が土下座をした。
「それで、私に何のメリットが有るんですか?」
「そ、それは…」
このどうしようもない理事長を見ていてやるせない気持ちになった。
私は一度大きなため息をついた。
「分かりました。一晩待つことにします。
明日私を説得できる内容なら、考える余地も考慮したいと思います。」
「わ、分かった。」
「それではもう話も無いようですし、これで失礼します。」
私は理事長室を出た。今度は呼び止められなかったみたいだ。
私は家に帰ることにした。




