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序章
笑顔を失った人形と、気力を失った人形。
正義を失った人形。
信仰を失った人形に、自らの力を失った人形。
全てを失った双子の人形。
全て失敗作に君には見えるみたいで、とても残念だ。
君には資格がないらしい。だから、君は人形にはなれない。
ただの部品として、ここを訪れたからには生きてもらうことにしよう。
え?私の名前?さあ、なんだろう。
一つ言えるのは、人形造り、ってことぐらいかな。
「マスター、この子はどうするの?食べてもいいかしら」
不思議な恰好をした人形が、先程までの姿から艶やかな人間の姿に変わっていた。
「うん、好きにしていいよ、A」
Aと呼ばれた人形の持っていたナイフが、客人の心臓を貫いた。