メリーアとの談笑
「あ、それはそれは。ご主人様がお世話になってます」
「いえいエ、本当に糞生意気な友人で」
今の台詞に「おい」、と突っ込みたくなるがジョークとして受け止める。本気だったらタダじゃ済まんぞメリーア。
というかいつの間にお目付役みたいな立ち位置になってんだ花梨。
「というか奈央っち、その3人ハ奈央っちとどういう関係ですカ?」
「「「ご主人様の性奴れゲフッ!?」」」
「昨日から家で世話してる"居候"だ」
早速良からぬ事を口走り掛けたので、3匹をテーブルに叩き伏せて口を封じる。
「なるほド……居候ということは何やラ訳ありですネ?」
「ま、まぁそうなんだよ……」
拾った犬と猫と狐が翌朝起きたら美少女3人になってたんで養ってあげることにしましたぁww──なんて口が裂けても言えない。言ってもどうせ笑われるだけだ。
「ふム、奈央っちも色々あるみたいですシ詮索はしないことにしまス。『フカヒレはバラムツ』っテ言いますシ」
「──それもしかして『深追いは禁物』って言いたいのか?」
「Oh、ソレですソレでス! 『フカオイはキンモツ』でス!」
「一体何処をどうしたらそんな間違いするにゃ……」
うむ、確かに百合には同感だ。
──だが、こいつの日本語間違いは今に始まった事ではない。
元々両親と共にアメリカにいた事もあって、メリーアが日本に来たのは5年前との事。しかしその期間に日本語をマスターしたかと言えばそうではなく、未だに教科書を読むのに難儀している程だ。その副産物が、さっきのアレである。
友達始めて一年ちょいだが、まだまだ先は長そうだ。
「って、もうこんな時間ですカ!?」
その時、自分の腕時計を見たメリーアは何やら慌て始めた。
「ん、どした?」
「急がないと帰りのバスに間に合わなくなりまス! 次のやつで帰らないト、溜め録りしてたアニメを今日中に見終わらないでス!」
「今から帰って今日中にって……一体どんだけ録ってんだよ」
少なくとも、今から帰って日付変更まで軽く11時間。そこまで時間がかかるということは、CMすっ飛ばしても深夜アニメ1クール12話分は録画している計算になる。そんな溜めるなら毎週1話1話確実に見ていけばいいと話だと思うんだが……。
「そ、それでハ! See you!」
そう言い残すと、メリーアはフードコートをダッシュで駆け抜け、人混みの中に消えた。
というか去り際にちゃっかり俺のポテト持って行きやがった。今度会った時に代金を請求せねば。
「それじゃ、改めて飯食うの再開す」
「「「食べ終わっちゃいました、ご主人様」」」
「るかって、やっぱ食うの早すぎんだろお前ら」