これまな板だよ! すっげぇまな板だよ! まな板に(殴
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「──えっと、これで家具は揃えたな」
時刻も12時に差し掛かろうとする頃、漸く俺達は家具の購入を終えて、フードコートで食事を摂っていた。
内容はというと、俺は某ハンバーガーショップのチーズバーガーセット、花梨はたこ焼き8個×10、神楽はきつねうどん(麺8割増)に掛け蕎麦(麺8割増)、百合はマグロ丼(特盛)にビビンバ丼(特盛)というラインナップ。一体あの身体のどこにあれだけの容量を詰め込めるスペースがあるというのか、あの獣耳っ娘3人は。
あれか、最近流行りの大容量冷蔵庫か。大容量700リットルとかそんなんか。
「ふぇぇ……。うち、もう疲れたにゃ……早く家帰って寝たいにゃ……」
「残念だが百合、お前は地下室作る装置とやらを作るまで寝かせんぞ。今日中に部屋の片付けまで終わらせんといかんからな」
膝の上で寝ようとする百合の頭をペチペチ叩いて気付けしてやると、渋々起き上がってくれた。それと疲れたのは買い物のせいだけではないだろ絶対。
「まぁ、百合は育ち盛りですからねぇ。よく食べてよく運動して、よく寝るのが一番ですよご主人様」
「いや特に運動してないだろ。寧ろこれから運動して貰わないといけないんだが。というか育つのか? まな板だけど育つのか?」
多分だけどあれBくらいしかないよね? 絶対そうだよね?
「……ご主人様? 今の台詞、ご主人様で無ければ股間蹴り抜いてたにゃ……?」
「い、いだいいだいいだいいだいっ!? 蹴り抜いてねぇけどおまっ、握り潰そうとしてんじゃねぇかっ!?」
まな板発言をした瞬間、男にしか分からない名状しがたい痛みが俺の息子を貫く。
「ちょっ、何をしているんですか百合!? マスターも大丈夫でございますか!?」
「全然大丈夫じゃねぇーっ!! 百合、お前俺と○○○したいんじゃねぇのか!? このまま握り潰されたら俺、一生童貞確定だからね!?」
「安心するにゃご主人様……。ご主人様が童貞卒業できる程度に潰すから心配はいらないにゃ……」
「それ全然安心できねーよっ!!」
「神は言った……『汝、罪あり』」
今、俺の目の前にいる百合は、今朝から見せているのほほんとした少女ではない。
それは例えるなら──愚者を踏みにじる女王。
全身からどす黒いオーラを発して俺の股間を握りつぶそうとするその姿に、俺は、恐怖すら忘却していた。
「わ、分かった分かったぁ! 謝るからいい加減やめてくれぇぇぇぇぇっ!!」
股間から迸るあまりの痛さに涙ながらに懇願すると、やっと百合は股間を握り潰す手を離してくれた。
ってか以外とあっさり許して──
「今回はご主人様だから許しますが、次に私の胸を貧乳とかまな板呼ばわりしたら──」
「し、したら……?」
「──一晩かけてじっくりと精根絞り尽くした上でその股間のミートボールを踏み潰しますよ?」
その笑みは──執行猶予付きの死の宣告に他ならなかった。
「は、はい……分かりました……!」
「えへへ、分かってくれればいいにゃ。胸の話さえしなければ、いつも通りに過ごしますにゃ」
と、さっきまでの女王っぷりは何処へやら。瞬間的に元の美少女に戻り、再びマグロ丼をがっつき始める百合。さっきまでの「あれ」は一体なんだったのだろうか……?
しかし俺達3人は、この一連の出来事で実感した。
──百合に胸の話したら、殺られる。
と、取り合えず飯を食おう。うん、そうしよう。そうでもしないとこの気まずさは打開できねぇ……!
そう思い食べ掛けのチーズバーガーに手を伸ばした時だった。
「あレ、奈央っちじゃん。どしたのこんな所デ?」
目の前から独特のあだ名で呼び掛けられた。
顔を上げると、そこにいたのはカールがかった金髪ショートヘアーの少女。買い物途中なのか帰りなのか、片手に大量の荷物を抱えている。
「なんだ、メリーアか。どした? 買い出し?」
「いヤ、ちょっとハマってる漫画が新刊発売だったから買いにきたですヨ。それよリ、まだメリーアの質問答えてないですヨ?」
「あぁーそうだったな。いやぁ、ちょっとこいつら3人が今日から居候する事になったからその買い出し。で、今は昼飯食ってるとこ。なんなら一緒に食ってくか?」
「ほんとですカ!? なラ、お言葉に甘えるですヨ!」
「ほれ、こっちゃこいこい」
「「「ご、主、じ、ん、さ、ま?」」」
あ、やっぱ突っ込まれるか。
「ご主人様、一体誰ですかその方は?」
恋敵が現れたのではと花梨が額に青筋立てて問いかけてくるが、安心しろ。そんなんじゃない。
「ああ、『メリーア・ナータ・ノゥシーロ』。俺の友人で、俺の高校の理事長のお孫さん」
「どうモ、メリーアでス! 宜しクお願いしまス!」
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3/1 比喩表現の冷蔵庫の要領を書き換えました(45ってどんだけ少ないんだよorz)。