絶対に下半身発言してはいけない24時(毎日)
「んじゃ、次は二階に行ってお前らの家具を買いに行く。ベッドに机、本棚にその他を揃えるぞ」
「あ、あのっ、ご主人様! よろしければベッドはツインでお願いします!」
二階への階段に足を伸ばしてそう告げた矢先、以上な程に眼を輝かせて花梨が迫ってきた。
「……なんか嫌な予感しかしないが一応聞こう──ツインなんか買ってどうすんだ?」
「そ、それはもちろん……ご主人様にベッドの上で……その……ご奉仕を……」
「よし、お前ら全員シングルベッドな」
なんか勝手に発情している花梨を華麗にスルーし、3人にそう命令する。こいつらときたら、気を付けないとゴリゴリ押してくるので隙は見せないようにしなければいけない。
そう簡単に童貞はやらせはせん、やらせはせんぞ。
「うぇぇ……ご主人様ぁ、それはあんまりと言えばあんまりにゃ……」
「百合、お前もか」
「……マスターはもっと胸が大きい方が好みですか?」
「いや、そのままで充分だぞ? 爆乳なんて好みじゃないし」
滝のような涙を流し始める百合に、自分の胸を服の上から揉み始める神楽。どうやら本格的に俺に好いて貰いたいらしい。
いや、別に3人とも大好きだから一向に構わないが。
しかし好きであることとベッドの上のご奉仕はイコールではない。そういうのはもうちょっと関係が進展してからだと思うんだよな。
せめて──恋人同士とかになってから。
「まぁ、お前達の気持ちは分かる。でも、俺だってまだ一人で家族養える力を持ってないんだ。だからお前達の思いに答えるには、まだ早い」
「「「ご主人様…………」」」
「──でも、安心しろ。ヤる時は俺から言うから、それまで待ってろ」
すっかり悄気た3人に優しく言葉をかけてやると、瞬く間に3人に笑顔が戻る。
「「「ほ、本当ですか!?」」」
「ほ、ほんとだほんと。俺は刺身のパックは破るが約束は守る男だからな。ちゃんと守るぞ」
「ご主人様、私達はしかとこの耳に刻みましたからねっ! 言ったからにはいつか必ず私と交わってくださげふっ!?」
「マスター! 最初に交わるのはこの私でお願いします! この神楽、必ずやご主人様を快楽の果てに導いてご覧にぃれぷ!?」
「うちが最初にゃ! うちこそご主人様の初めての相手に相応しいにゃ! 絶対に優しくエスコートしてふぎゃ!?」
「あんたになんかご主人様の初めては渡さないんだからっ!」
「あら、それは私の台詞ですが?」
「うちの台詞に決まってるにゃ!」
「あーもうっ!! お前ら下半身談義に勤しむ──な?」
──その時、俺に電流走る。
今後の日常風景になりそうなこの状況を一発で打開する方法を、今、思い付いた。
「──よし、お前ら。ちょっとそこ並んでおでこ出せ。んで、眼を閉じろ」
「ほへ?(んぅ?)(ふにゃ?)」
まずは取っ組み合いの喧嘩寸前に至っていた3人を黙らせ、一列に並ばせて額をさらけ出させる。
そして眼を閉じたのを確認すると──
ビシッ。
「ふぇっ!?」
ビシッ。
「んあっ!?」
バチン。
「おぅふ!?」
──3人にそれぞれ凸ピンを食らわせる。
「ご、ご主人様……一体何を……?」
「お仕置きだ。これ以降許可無しに下半身発言する度に、今みたいに凸ピンが飛んでくると思え」
「な、何故ですか!? マスターの貞操を奪う事が罪だとゆーとぴあ!?」
「神楽、アウトー」
早速下半身発言が出たので凸ピンを執行する。
──しかし、たかが凸ピンと侮ることなかれ。
昔っから俺が小、中学と高学年になる度に悪いことばっかする後輩がいたもんだが、俺はそいつらを懲らしめる度に凸ピンをし続けた。
そんな日々が約四年、1461日ほぼ毎日続いたらどうなると思う?
──当然凸ピンの威力が尋常では無くなる。
今では消しゴムさえもコンクリートブロックを穿つ弾丸と化す程度の威力になってしまった。
その指から放たれる凸ピンは、他の追随を許さない。
さっきも、3人にお仕置きするのに充分な凸ピンを放っただけ。全然本気じゃない。
俺の全力凸ピンは誰も防げない。例えそこの柱だろうと。
「んじゃ、今度こそ二階に行ってお前らの家具買うぞ!」
「「「了解しました、ご主人様っ!!!」」」
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PS 次回新キャラ出します。