部屋が無ければ作ればいいじゃない
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「──というわけで、俺達四人は買い物に来た訳だが」
「マスター、まず主文を話してください」
だが断る。
時刻は十時半を過ぎた辺り。俺達四人は近くのショッピングモールを訪れていた。
ここなら大抵の物は手に入るし、バスで行くことも可能という利便性の良さもあって人気も大変良い。県内で1~2位を争うくらいの敷地面積もあるが、それ故に端から端まで移動するのに時間がかかるというのがたまに傷。
しかしそんなローリスクハイリターンだからこそ行きたくなる感情が何処からか湧いてくるんだよな。
「ご主人様、ここで一体何をお買いになるのですか?」
「愚問だな。もちろん、お前達の生活品の調達だ──それとっ!」
四人で歩いている最中、突然振り向いて百合を指差す。
「百合、お前朝飯の時に『避妊薬くらいならすぐできる』って言ったな?」
「は、はい! そうですにゃ! うちの技術力を甘く見てもらっては困りますにゃ!」
無い胸を張って得意気な表情になる百合。その胸が膨らんで揉めるようになるのはまだ先のようだ。
いや違う、そうじゃない。
「ならば、『家に地下室を作る』なんてことは当然容易いんだろ?」
「もちろんですにゃ! 避妊薬作るより簡単ですにゃ!」
「なんで地下室作る方が簡単なんだよ──まぁ、それはさておき」
無性に突っ込みたくなる衝動に駆られるが、話が脱線していくので最低限に留めておく。
「つまりは──百合の発明品で地下室を作ってもらい、そこに三部屋の物置の物品を移動、空いた部屋をお前達の部屋としたい」
そう、今俺達に直面している問題。即ち3人それぞれの部屋の確保。
家には物置となっている部屋が三部屋あるので、そこを3人の部屋に出来ないかと考えていたのだが、どう足掻いても荷物整理だけでは部屋が1つしか空かないのが最大の障壁だった。
しかし、今俺達には百合という存在がいる。
百合の発明品やらなんやら使って地下に強引に部屋を作り、そこに物置の物品を移動すれば部屋が空くのでは──という魂胆だ。
「よって百合、お前は生活必需品等の買い出しが終わり次第、地下に部屋を作る為に必要な物を揃えろ。あれだけの大口を叩いたんだから、必要最低限の物資で可能だろう?」
「もちろんですにゃ! なんなら100円ショップに売ってるものだけでやってみせますにゃ!」
ほう、これは大きく出たもんだ。百合のやつ相当な自信があるらしい。
確かどこかの秘密結社には、トイレットペーパーの芯だけで核融合炉を作ってしまう天才発明家がいるらしいが、まさか百合は自分がそのレベルに達すると思っているのだろうか。
まったくお笑いだ、花梨と神楽に聞かせたら二人も笑うだろう。
「ならばその自信、今は信じさせてもらおう──んじゃ、行くぞ」
「「「了解です、ご主人様っ!!!」」」
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