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二 [2/4]

「また神様をつくったのかよ」


 二十七人の中で一番背が高く、がっちりした体つきの男がぼやく。


「しかも俺たちより偉そうだな」


 その隣に立っている青年も言う。

 彼は右耳の裏に一筋ある赤毛以外は、黒髪黒目で黄褐色の肌をしている。無転や華伝と同じく、東岸出身のようだ。

 ざっと見ただけでも、四分の一位は東岸出身らしい肌と髪の色をしていた。


「えっ? 『また』ってことは、みんな神様?」


 無転の妹、華伝がティアに尋ねる。彼女は好奇心旺盛で、何でも疑問に思った事は尋ねないと気がすまない。彼女をここまで連れて来る間に百以上の質疑応答が繰り返されたが、それを全て挙げてはきりがないので割愛する。


「うん。みんな神様だよ。紹介するね」


 ティアは答えて、最初に口を開いた男に近づく。


「この子はソティス。力の神様だよ」


 確かにこの筋骨隆々――立派な体格と一本残らず立てた炎のように赤い髪や、つりあがった濃い青の目は見るからに強そうだ。彼の言う事には全て逆らわないでおこう。


「砂漠にある国で神様やってたんだよ」


「前職神様ですか! すご~い」と華伝(かでん)は手を打って喜んでいる。


「神様とお知り合いになれるなんて。私、神官をやっていましたが、神様に会ったのは初めてですぅ」


 彼女は、何と言うか――。本当に勇気がある。


「よかったら、神様時代の話をしてやるよ。オレの親父も神様やってたんだぜ!」


 調子に乗ったソティスも、白い歯を見せて笑いながら言った。

 華伝はまだ「すご~い」とキラキラした目でソティスを見つめている。


「初対面の女性をたぶらかすな」


 そんなソティスの頭を、横に立っていたメッシュの青年がどついた。頭一つ分以上ある身長差を全く苦にしていない。

 見た目ではあまり力がこもっていないようだったが、ソティスの頭が大きく前に傾いたところを見ると、意外と強烈な一撃だったのかもしれない。


「てめっ、オレの髪を触ったな!」


 しかし、有り余る筋力ですぐに体勢を戻したソティスが、丸太のような腕で青年に掴みかかろうとする。

 予想通りの迫力に、脇で見ていた無転(むてん)は思わず後ずさった。細い青年の体は、掴まれただけで真っ二つに折れそうだ。


 しかし、青年は片手でそれを受け止めた。正確には片手と彼を包み込む多量の赤い天力(てんりき)で――だ。


「ったく、もっと天力を使えよな、馬鹿力の神」


 青年はニヤリとして言い、何かをぼそぼそと唱え出した。呪文のようなもの、というか呪文だろう。最後に「――俺を守れ」と言ったのだけは何とか聞き取れた。

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