二 [1/4]
無転はスノーの背に乗り、妹の華伝はティアが契約しているもう一人の精霊――ミスラにしがみついていた。
ティアは背に大きな青黒い翼を生やして、飛んでいる。そのために背を剥き出しにしているのだと納得したが、白い背から翼が出てきた時には気絶しそうになった。
ティアは半人半精霊なのだそうだ。世界は広い。
彼らは、飛ぶとおなかが空くと愚痴るティアを先頭に東へ飛んでいた。
東岸のとある山中で一晩野宿し、次の日には大海の真ん中に浮かぶ大陸に下り立つ準備に入る。大小二つある大陸のうち、大きな方だ。
「この二つなら飛ばせそう?」
下降するスノーに寄ってきてティアが尋ねた。
「補助がしっかりしているのならば」
「大丈夫だと思うよ。がんばって、天地創造の神様」
そう呼ばれていい気になってしまうのは、無転の心が弱いからだろうか。
「任せておけ」
無転は言った。
「良かった」
ティアが無転を見て、にっこりほほえむ。子どものような、この無邪気な笑みは反則だ思う。
「じゃあ、同志を紹介するね。大体皆そろってるんだ。精霊が七千ちょっと。天力使いが五千五百位。動物達は数えてないから分からないけど、何百万といるよ」
地上に降りた無転たちを迎えたのは、二十数人の人間だ。
「二十七人の中心メンバーだよ」
まずは無転にそう言って、ティアはその中心メンバーに向き直った。
「皆、紹介するね。天地創造の神・兄の無転と天地創造の神・妹の華伝だよ」
いつの間にか、華伝も天地創造の神になったらしい。