終 [4/4]
そして、その通りだった。
「予知の女神、青麗だったよ」
もどって来たティアは暗い声で言う。
「昔からこのことを予知していたらしい。協力してくれた精霊四人に人柱になってもらって、結界を張ったんだって。青麗はこの世界が滅びるまで、人柱になってくれた精霊達を祭って守り続けるって。――前もって教えてくれれば、対応できたかもしれないのに……」
ティアはとても悲しそうだった。
精霊のために作った世界。にもかかわらず、その精霊を犠牲にしてしまったことが、悔しくてやるせないのだ。
「なるほど、な」
力の神ソティスが呟く。彼の底抜けの明るさも、今は影を潜めている。
しばらくの間、全ての人が目を閉じ、この世界のために犠牲になってくれた精霊たちを想った。
* * *
しかし、いつまでも、辛気臭くしてはいられない。
「それで、オレ達は何をすればいい? 最高神様?」
いち早くいつもの明るさを取り戻したソティスのおどけた口調に、辺りが少し和んだ。
「ソティスは昼寝でもしてて」
ティアも表面だけはいつもどおりにつくろって、遠回しに彼の仕事はないと告げる。
「成長の神シャヤと魂、魄、命の女神は手伝って。あと、前に三人『界の狭間の神』って決めたでしょ? その人たちが無転を手伝って、他の世界を見てきて。
――いい? この一番上の層「表」が人間の世界で、その下、「裏」が精霊のための世界だよ。一番下「影」が死者のための世界で、もうひとつ、独立した世界が神様の世界」
「『高天原』ってやつか?」
「東岸の先にある国の言葉だね。でも、そう。そんな感じ」
ティアはまた飛び立った。
仕事のある神々も気持ちを切り替えて、使役した精霊に乗って散らばる。
「なぁ、読呼。ティアたちは何を企んでいるんだ?」
玉苑がのんびりと歩く楽遊に運ばれていこうとする読呼に尋ねた。
「なんかね。人間が少ないから、人間になりたいって希望する動物や精霊は人間にしてあげるらしいよ」
読呼は楽遊の肩越しに振り返って答える。
「そんなことできるのか?」
「できるよ。あたし達は"神様"だもん」
こうして、後に羽音の世界と呼ばれる世界は誕生した。
たくさんの陽気な神々が住み、世話焼きな最高神の羽音が響きわたる世界が。
<完>
「羽音 ―ハネ― 創世記」、お付き合いありがとうございました。
あとがきに代えて、設定を少し。
この物語ですが、一応彼らが住んでいるのは地球です。紀元前5000年とかその辺をイメージしています。
イメージと言うだけで、実際は当時なかったであろう英語名のキャラクターがいるなど、色々と好き勝手にやっています。
無転をはじめ、名前が漢字の人は中国系の人。たぶん、日本系の人もいます。
ティアはラテン系。きっとラテン語が母語です。
ソティスは古典ギリシャ語を話してそうだけど、多分エジプトとかその辺の人。
とか一部のキャラクターはある程度考えて作ってあります。
精霊の名前が英語ですけどね……。これを最初に書いた当時の私(高3)には英語以外の外国語知識がなかったんですよ。
「天力」だの「煌」だの、この作品特有の用語もちょくちょく出てきますが、もう少しセンスある名前は付けられなかったのかと、私自身も思っています。
「魔力」や「オーラ」と言うとヨーロッパっぽいし、「神通力」と言うと日本っぽいし、「気」と言うとややこしくなりそうな気がするしで、広く汎用的に使える単語が欲しかったんですよね……。
これと同じ世界観で書いている作品があるので、それもいつかきれいに整えて載せられたらなぁと思っています。
2011/5/28
最終更新日2013/7/31




