終 [2/4]
黒天が陣を壊さないように、慎重に上空を旋回する。
無転もその背から二つの大陸全体に視線を注いて、合図を待った。
今、地上では描いた陣にほつれがないか、確認しているところだろう。
そして、陣の展開が始まったのと同じ大陸の中心部から、純白の光が打ち上げられた。陣の隙間を縫ってまっすぐ天へと昇っていく。
――合図だ。
「行くぞ」
無転が言う必要もなく、黒天は降下していく。
その間、無転は自分の中で天力を練った。
――できるはずだ。
「お前ならできるさ」
黒天がちらりと無転を見て言う。
「当たり前だ」
わざと冷たい声で応じ、練って溜めた天力を球形の陣の頂点から流し込む。
驚くほどの速さで自分の天力が陣を構成する真紅の線を流れ、循環するのが感じられた。抵抗もなく、辺りの天力を吸収し、無転のものと同じ天力に変換することでどんどん増幅されてゆく。
陣からあふれ出す天力が、天力使いにしか感じられない風となって無転の髪を大きく乱した。
「いいか?」
「いつでも」
無転の問いに、黒天は澄まして答える。
大陸で待つ人々も、その瞬間を祈るようにして待っているのだろう。
「いくぞ!」
無転は、陣の中で練り上げ、限界まで増幅させた自分の天力を一気に自分の中へ収束させた。
そしてその日、大洋の真ん中から二つの大陸が消えたのだが、それを知るものはいない……。




