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終 [1/4]

―― 一週間後。


 無転(むてん)は黒い鳥の背から二つの大陸を見下ろし、ティアの合図を待っていた。

 合図後、大陸ふたつをほとんど時間を空けず、別世界に飛ばさなくてはならない。そうしなければ、陸地が消えたところに海水が流れ込んで発生する高波にもう一つの大陸が飲まれてしまう。


「まぁ、やばそうだったら俺様が時間を止めてやるから安心しろ」


 無転を乗せている黒い鳥が言った。彼こそが友の神が見つけてくれた、無転と最も相性がいい精霊、黒天(こくてん)。少し横暴だが、確かに気の合ういいやつで、しばらくの間はこうやって共に過ごしてみるつもりだ。


「ああ、もし失敗したら、黒天のせいだと言ってやろう」


「俺様に全部押し付ける気か?」


「だめか?」


「ダメに決まっているだろう」


 面白がるような口調で黒天は言う。


「俺様は小心者だからな」


「一人称が『俺様』な奴のどこが小心者だ」


 無転は、黒天の頭を軽く叩いた。二人で仲良く笑う。

 そうしながらも、意識の一部は大陸からの合図を待っている。


「お?」


 黒天が不意に声を上げた。音もなく大陸の中心から深紅の光が広がっていく。それに合わせるように大陸のほかの場所からも。

 それらが複雑に絡み合い、直線と曲線の模様を刻み、大陸を覆うように展開していく。


「話には聞いてたが、すげぇ(じん)だな」


 黒天がつぶやいた。

 二つの大陸を覆う細かい線で描かれた半球の上に浮かぶ模様は、一般に「陣」と呼ばれるものの一種だ。普通の陣はこれほど大規模ではないが、主に天力の流れをスムーズにし、増幅する役割は共通している。

 今回の陣には、他にもさまざまな力が込めてあると知恵の神が言っていた気がするが、忘れてしまった。無転(むてん)の能力を補助するためのものだ、ということだけわかっていればいい。


 この距離からでは陣に不備がないか確認することもできない。

 ここは、陣を展開した陣術師たちを信じよう。

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