⑧山賊との戦闘(バトル)
茂みから出て一秒足らず、
近くに死体とヤってる痩せた男めがけて、餓鬼は走った。
俺という荷物がなくなり、両手ともに使えた彼は尋常じゃないくらい速かった。
山賊Aは足音に気づいたものの、腰が不自由のせいで何もできなかった。
助走をつけた彼のキックは、本当に人を殺めるほどの威力があった。
首の側面から一発の蹴り、それだけで男は二度と「お楽しみ」ができなくなった。
下半身が繋がったままだけども。
一人目。
声を聞こえた山賊Bが青ざめ、声をあげる。
「敵しっーーー」
餓鬼は山賊Bの腰にあるダガーを手に取り、二人目に投げつける。
ナイフがBの口の中に突き刺した。
口には突き刺したけど、死ぬことはなかった。
慌ててダガーを取り出そうと柄を握った途端、後頭部からキックが炸裂。
コンマ一秒でまた加速した餓鬼は死んだBの口からダガーを取り出す。
二人目。
二人にかかった時間は、5秒未満。
Bの声に駆けつけた山賊に五人、だがその場に餓鬼はもういなかった。
五代もあった馬車の中を殺し回ってるからだ。
こっちだとよく見えない。一代一代にかけた時間も凄く短かった。
女の悲鳴。馬が嘶く。
四代目から出た餓鬼。五人は馬車へ向かった。
「なんだあの子供、武器を持ってるぞ!」
「あの子供がトローとギンを殺しただと?!」
餓鬼も彼らを見てすぐ、ダガーを投げつけた。
走った。ダガーが飛んだ瞬間にダッシュ。飛んでるダガーより速い。
走って、止まって、跳んだ。空を飛んだようなジャンプ力。
ひとりはオノを空にいる餓鬼へ投げた。首に向かってる。
避けれない。まずい。
そう思ったが、簡単に受け止められる。
うん?
なんか、一人倒れてない? あ、あれ、ダガーだ。
さっき投げたダガーで殺されてる。遅効攻撃ってやつ?
サーカスを見てるとしか思えなかった。
オノを握りしめ、餓鬼は落下する。
オノを投げた奴は殺されると悟ったか、「逃げろ」と叫んだ。
彼自身も猛ダッシュで逃げた。
反応しきれてないのは一人だけ。オノの白さに目を奪われたようだ。
オノを投げる。回転しながらその人の頭に命中。倒れた。
落下してダガーが頭に突き刺さった奴の腰から、短剣を取る。
逃げる三人もここで足を止まった。誰も彼も迂闊に餓鬼には近づけなかった。
餓鬼が入ってない馬車からもう四人ほど声を聞きつけ、走ってきた。下半身が裸のまま。
餓鬼は迷わずに短剣を持ったまま接近する。
「どうしーー」
まだ話し終えてないが、餓鬼は気にするはずもなく。
アレを切りつける。地面に落っこちた。叫び。
俺までちょっと幻肢痛がする。
他の四人も三人ほど切り落とされた。
ひとりは運良く避けられた。
「気をつけろ、ソイツはただの餓鬼じゃない。
てめえは早く最後の一代を乗ってアジトへ戻れ。人を呼んでこい。
ここは俺たちが足止めする」
オノを投げた、ここはオノ野郎と呼ぼう。
彼がそう言うと、駆けつけた五人の中、唯一避けられた人は慌てて馬車の方へ逃げた。
「てめえ、、、なぜ俺たちを襲った」
時間稼ぎをするオノ野郎。餓鬼は何も返答せず、他の二人を狙った。
怯えられたみたいで、抵抗もままならず、もう一人が殺された。
オノ野郎は叶わないとわかったか、餓鬼を阻止しなかった。
「なあ、何がほしいんだ?
欲しいならくれてやるからさ、見逃してくんねえかなあ?」
最後のひとりは武器を投げた。逃げようとした。
餓鬼はさっき殺した奴のダガーをソイツに投げた。
後頭部に命中。あっさり殺された。
早すぎる。
「頼むからよお、てめえは一体何が欲しいんだ?」
膝を地面につけて首を垂らしながら、オノ野郎が聞いた。
餓鬼はこのときこう思ったそう。
馬車へいった奴がまだ逃げていない。
なら早くコイツ殺してアイツも殺そうって。
「ご飯と寝床」
オノ野郎に返事ながら、短剣を投げる仕草をする餓鬼。
それを読んで、早く避けようとしたオノ野郎だが、フェイントでした。
左にローリングしたオノ野郎。
しかし餓鬼は彼がローリングするこのときを待った。
短剣を投げる。オノ野郎の首に突き刺さった。
「頭ーーー」下半身切りつけ組は叫んだ。
オノを拾う。オノ野郎に近づく餓鬼。念のためとばかりに頭を断った。
死んだ。ソイツだけはちょっと手ごわそうだったね。
短剣を拾いあげ、オノを捨てる。
下半身組に近づき、ひとりひとり首を切る。
まだこないなと思った餓鬼は馬車へ向かった。
しばらくして、餓鬼は俺のところへ帰ってきた。
「最後のひとりはどうしました?」
「女に刺されて死んだ。」
「そうですか、では恩を売りにいきましょう」
「女たち、僕のことも怖がってるようだ。僕が馬車で暴れたせいで。
大丈夫なのか?」
「へーきです。適当にカワイソウな過去を付ければ信じてくれますよ?
例えば両親が皆殺しにされて、妹だけ守ろうとした不思議な力が湧いてきました、とか。
情に弱いのです。」
「そうかな、、、」
やや?何でこんな自信なさげかな、
殺した程度でそんな怯えられるわけないじゃん。
バラバラじゃない限りね