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⑤誘拐

うーん、子供時代の描写浮かばん。

ブクマありがとうござん。

三才になりました。

毎日部屋に閉じこもって、寝る起きるご飯食って糞する。

ようやく母がずっと寝て起きない理由がわかったような気がする。

こんな生活を強いられて、そうならないほうがおかしいってもんだ。

母も一応抵抗はしたようだ。

意味をなさなかった上に、処罰された。

その後はすっかり大人しくなり、

次第にオッサンのことが、


好きになった。


どういうこと?

まあ、仰天吃驚(ぎょうてんびっくり)も仕方がなかったと思う。


これは、あれだ。

ストックホルム症候群。

そうじゃなくとも、それに通ずるものだ。

でないと納得できないし、不安になる。

(もしも俺もそうなったら)ってな。



男としての自己なんて、脆いものだ。

男という概念自体も、大半は社会のフィードバックからきたもん。

要は「男として自己認知させられたから、そうなってた」ってこと。

生粋のTSっ娘ならばきっと「俺は男だ、女になんかならない!」と言い張るだろう。

馬鹿過ぎて笑いが出る。

女が生まれた瞬間に自分を女と自認識するわけないだろう?

だからこそ怖い。

恐らくこのまま生活し続ければ、俺は堕ちる。

例がすでに目の前にある。


「ママはあのヒトのこときらいじゃないの?」

「ええ、最初は嫌いだったけど。

つまらない生活の中、彼だけが癒しだったのよ。

たとえ言葉を交わさなくても、なぜか一緒にいるだけでシアワセってなったの。

それで何時しか、シルヴァー候様のことしか考えられず。

寝ても起きても、シルヴァー候様のことが頭いっぱいで、その、、、

言い方が悪いかも知れないけど、


堕ちちゃったの、、、」


顔を赤く染めながら俺の頭を撫でる母。

駄目だこれ、洗脳じゃないか。

ですが監禁しただけ。

食事も睡眠も取らせ、拷問とか一切しない。

子作りの部分ですら、堕ちた母から提案したようだ。

どうゆこったい?頭バグりそうだけど。

うええええ、やべええ、、、


「私も最初は無理やりされるかと思ったよ?

けど三年間何もしてこなかった。

数日に一度きて、軽く体調の確認と食事や要求を聞くだけ。

何もしてくれないの。

それである日、

私から申し込んだの、私子供が欲しいって」


な、なるほど?これは、うん。

じゅんあいか。

純愛?いやうーん、当事者は別に嫌がっていないから、純愛と定義付けても大丈夫か、な?

今の母は二十三歳、俺を産んだときは二十歳で、買われたのは十七、、、

手を出していないことからロリコンではない、レイプでも和姦でもなく、相思相愛?


吐き気が、、、おえええ

しかし。思ったよりまともな人だ、あの餓鬼にあんな知識を教えたこと以外は。

だが母の体験から推測すれば、俺もちょっとばかり洗脳されかけられてると思う。

あの餓鬼に。

ずっと好感度稼ぎして逃げようと画策したばかりに、

あれやこれやと、どう誑かすことしか脳内になかった。

けどあれから餓鬼は一向に姿を表せなかった、叱られて来れないのかもしれない。

一ヶ月末から二ヶ月前半辺りで諦めた。

毎日ベッドでごろごろして、母と駄弁る日々。

そのおかげで一歳半ばで言葉をかなり話せるようになった。

だって話せる相手母しかいないし、やることもない。


チャンスはやってくる。


ある日の昼下がり、母は本を読んで、俺がその膝枕で寝てるとき。

ドンーーーって音と共に、鉄の扉が開いた。

俺は目を瞑って足音を耳にするが、オッサンではなかった。

誰だろう?

そんなのんびりきった気持ちで目を開くと、ちょっとデカくなった餓鬼がドアの前にいた。

「何の用ですか?」俺はおどろおどろ訊ねた。気迫が子供が有していいものじゃない。

目がキマってやがる。つかあれ、もしかして『人を殺した奴のアレ』じゃん。

「父上と駆け引きした。今日からお前が俺の奴隷になる」

「何を言ってるです?」

え?どういうこと?

「爺から聞いた、父上は君を君の一族の継承戦争にさせる気だ。

だからこうやって助けに来たぞ、抵抗はするなよ」

一歩一歩近づいてくる少年に、どこか恐ろしさが覚えた。

「あの執事さんは?」

「止められたから、殺した。」

あの爺さんを?殺した?

よくみれば確かにシミが出来てる。この餓鬼、何があった?

血の気が引いた、母も俺を抱きしめる。

「やめて!」

叫ぶ母の声、部屋が急にアラームのようなものが響き始めた。

ちょっと頭痛がするんだけど。

それでも餓鬼に問った。

「なぜ、あの爺さんを殺したのです?」

「裏切られたからね、あれから来たことないだろう?

報告されたんだ、だから君をその継承戦争にさせる羽目になったんだよ。

父上は言った、記憶さえ保持していれば、転生者としての力を発揮することができる。

たとえそれが女でもね、それをアイツが報告しちゃったんだ。

君が言葉を理解することをな。

主人への裏切りは死あるのみ、だ」

それで殺したのか、けど、子供じゃんコイツ、一体どうやって、、、いやそれはいい


「しかしそれはおr、私を連れ出す理由にはなりませんか?」

「惚れた。」

は?

「君の匂いに惚れた。あれ以来ずっと、もう一度、嗅ぎたいって思ってる。

なのに父上はそれを許してはくれない。

だからもう、奪うしかなくなったんだ」

駄目だこりゃ、この餓鬼、笑ってるのに目がヤンでる。

こええだが、しかしチャンスではある。

「分かりました。私ば着いていきます、抵抗はしません」

逃げるチャンスが、ここにあるじゃないか!

多少はリスクがつくかもしれないが、逃げれば勝ちだ。

たとえどんな手を使おうが


「シュヴィ、、、」悲しむ母の声、いや実に悲しいね。

「大丈夫です、ママ。私は大丈夫ですから。」

私は母に優しく言葉を掛け、彼女の抱擁から抜け出す。

それからきしょい笑みを浮かべる餓鬼に向かった。

「どう呼べば良いですか?」

私は彼の前に立ち、彼の顔を見つめる。

「リアお兄ちゃんでいいよ?」

「そうですか。分かりました、リア鬼ちゃん」

「、、、?いや、何でもない。まあ言葉を学んだばかりだしな」

俺は腕を広げ、彼は右手を俺の(ひかがみ)に手を回し、左手を脇に。

ひょいっと、いとも容易く俺を抱き上げる。

三才児でも、それなりに重いだと思うんだが、コイツほんとに子供か?


「さようなら、''お母さん''」

俺は振りかえった、母は泣いてる。でも何も言わなかった。

「ひどいな俺」

誰も聞こえない声でつぶやく俺。

「結局、名前知らなかったんやん」


「逃げるぞ」餓鬼は俺に耳打ちする。

「はいです」俺は顔をあげ、笑みを浮かべた。これでいい。

これがベストだ、もう他に助かる手段はない。何せ俺はただの娘ッコだから。

そう覚悟を決めた瞬間、餓鬼の顔が近づいてきた。


なんだ?


反応する間もなかった。

あ、これ、ファーストキスか。


しまったな、前も含めて人生初のキスが、

なくなっちゃった。こんな餓鬼相手に。


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