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「いい加減、機嫌を直せって〜!1週間、昼飯奢るからさ」
「ふざけんな!あんな事しといて昼飯1週間で許せる訳ないだろ!」
ユナの魔の手から逃げ切る事が出来た俺は、無事に教室に到着した。
その後、10分くらい遅れて禅輝も教室に入ってきたのだが……俺が囮に使った為、めちゃくちゃお怒りだ。
「あの時はああするしかなかったんだって!お前もわかるだろう?」
「お前もわかるだろう?……だと⁉︎わかる訳ないだろ!お前は最低だ!!」
そう亮太に吐き捨てた禅輝。
そしてそれに対する亮太の心の反応は以下の通りである。
(最低だと⁉︎このやろぉぉぉ!!)
亮太は激しく怒っていた。
1週間も昼食をご馳走しようとしてやってるのに、これで納得出来ないだなんてこいつはどれだけ傲慢なんだ?というのが亮太の言い分だ。
だが亮太は思った言葉を口に出さずに飲み込んだ。
理由はともあれ、親友である禅輝を犠牲にしたのは事実だからだ。
ここは大人にならねばならない。
そう思った亮太は更なる好条件を提示した。
「……2週間でどうだ?」
亮太は昼食1週間奢るだけでは誠意に欠いていると思い、なんと倍の期間の昼食保証を進言した。
学生にとって昼食事情は死活問題。
しかもこの学校は、食堂の料理は全て超一級品だが、その分相応に値が張る。
普通なら1週間でもかなり魅力的に映る筈だ。
そこに亮太は+1週間も追加したのだ。
流石に俺の誠意が禅輝にも伝わった事だろう。
亮太はそう確信していた。
だが現実はそう甘くはない。
「お前……ふざけてんのか?」
亮太の言葉に、禅輝は怒りのあまりに拳を震わせていた。
予想と違った禅輝の反応。
そしてそれに対する亮太の心の反応は以下の通りである。
(ふざけてんのはてめえだ!このやろぉぉぉ!)
亮太の心は激しく荒れていた。
バカな、2週間……2週間だぞ⁉︎
あの学食の料理が2週間も無料で食べれるんだぞ⁉︎
俺がここまでしてやってるというのに、こいつはどれだけ図々しいんだ?
いくら俺を救ったからといって、2週間分で納得出来ないとかは傲慢が過ぎる。
これ以上は我慢ならねえ。
「俺がここまで言ってやってんだから、いい加減許しやがれ!このクソ野郎!」
「クソ野郎だと⁉︎それが許してもらおうって奴の態度か⁉︎てめえなんて絶交だぁぁぁ!!」
「あんた達、うるさい!!もう授業は始まってるのよぉぉぉ!!」
授業が始まっていた事に気付かずに喧嘩していた2人は先生に怒られ、廊下に立たされた。