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「昼飯2週間+デザートだからな!絶対に約束守れよ⁉︎」
「分かったから、声がうるせーよ」
1限目の授業が終わった後、廊下に立たされていた亮太と禅輝は教室に戻っていた。
1限目の間、ずっと立たされていた事もありお互いの頭は冷え、禅輝は昼食とデザートを2週間奢ってもらう事で手を打ち、和解していた。
ちなみにだがこんな感じのやりとりは日常茶飯事で、クラスメイト達は概ね理解している。
「2人は相変わらずだね〜」
「あっ、聞いてくれよミズキ!亮太の奴が俺を囮にしやがってさ〜!」
「ああうん、通学の時に見てたから知ってるよ?脇道の坂をユナちゃんと仲良く転がっていく所を車から見てたからね〜(笑)」
「そっか〜……って見てたなら助けにこいよ!!」
禅輝を茶化す彼の名前は【花宮ミズキ】
亮太と禅輝と同い年の高校一年生で、クラスメイト。
2人とは小学生時代からの付き合いで、性格が2人とは対照的だが何故かウマが合い、一緒につるんでいる事が多い。
特にユナの件で巻き込まれて、どんな酷い目に遭ってもなんだかんだで亮太の親友であり続ける禅輝を高く評価している。
彼曰く「ここまで亮太からぞんざいに扱われて、何があっても許し、親友と呼べるそのメンタルは賞賛に値する」との事。
「ごめんごめん(笑)。それよりも、今日の放課後遊ばないかい?朝の3人を見ていたら、また亮太とユナちゃんの戦いを見たくなってさ」
「なんて嫌な遊びの誘いだ……」
笑いながら亮太と禅輝を遊びに誘うミズキ。
ミズキもユナの異常性と亮太との関係や、罠を使った戦いの事も知っている。
ユナは交わした誓約がある為、学校の敷地内では大人しいが、通学路や外出している時も容赦なく襲いかかってくる。
それは友人と遊んでいる時も例外ではない。
「前に公園で遊んだ時は傑作だったよ〜!まさかボディガードの包囲網を掻い潜る為に、空から奇襲をしかけてくるなんてね」
「あれは確かにやばかったな……パラシュートで下降してくるユナが現れた時はマジかよって思ったわ」
「まぁ風で思いっきり流され、近くでやってたアイドルのコンサート会場に突っ込んで、大事になってたけどな」
禅輝と亮太は笑っていたが、亮太は渋い顔をしていた。
ユナは基本的に亮太同様、手段を選ばない。
亮太を手に入れる為なら空からでも海からでも地面からでも現れる。
それが聖廉寺ユナという人間だ。
そして噂をすればなんとやら、彼女が廊下に現れた。
「ユナちゃんが歩いているぞ!」
「聖廉寺さん、今日も可愛いな!」
「スタイルもめっちゃいい〜!」
廊下を歩くユナに対して、男子達は黄色い声援を送っている。
ある者は手を振り、ある者は顔を赤てユナの顔を見つめている。
そう、ユナは学校内での男子からの人気は非常に高いのだ。
「相変わらずすげーな」
「コンサート会場に突っ込んだ時もニュースにもなってたもんね〜。コンサートに新加入の美少女が空から現る⁉︎……ってね」
「まぁ見た目だけで言えばユナのやつは、めちゃくちゃ可愛いからな」
「本当に見た目「だけ!」……な」
3人がそう話すように、ユナは非常に容姿に優れている。
顔は小顔でスラッとしており、目鼻立ちも整っている。
品の良さも感じさせ、文字通りの美少女だ。
そしてそれは亮太と禅輝も認めている所であり、同時に一つの黒歴史にも繋がっている。
「確か、亮太と禅輝の初恋って……」
「それ以上言うんじゃねえ!!!」
「それ以上言うんじゃねえ!!!」
容姿が可愛い……これは男にとって大正義なのである。




