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しばらくして、ルイス・ノア公爵令息とアンリ・ローズ辺境伯令嬢の婚約解消とともに、リュカ・ノア公爵とアンリ・ローズ辺境伯令嬢の婚約締結となった。
アンリとエミリは卒業し、自分はもう立場的にもあえなくなるだろう。ひしひしと推しと会えなくなることを悲しんでいるエマであった。
(アンリ様、良かったわね。恋がかなったのね。しっかし、ひそひそとまた扇の下でせせら笑っているやつらめ・・・滅びなさい!)
相変わらず、遠くから見つめてばかりで、今まで話したこともないくせに、アンリに親近感を勝手にわかしていた。
今日は卒業パーティだ。アンリとノア公爵は美しく、堂々とダンスを踊った。その姿は、会場の視線を独り占めするほど凛として美しかった。
(あ~アンリ様とノア公爵のダンス最高だったわ・・・)
その時、ロイ様を見かけた。
(ロイ様、お久しぶりに会えたわ。以前よりまして凛々しく逞しく神々しいわ・・・)
ロイは騎士団長と次期辺境伯として忙しく、最近はたまにしか合同訓練に参加できていなかった。
エマも来年は卒業だ。現在自分の婚約について両親が検討しているような話が聞こえていた。ロイは現在も独身だが、年齢的にいつ結婚してもおかしくない。むしろ遅いくらいだ。あと、ずっと忘れられない人がいるとの噂も聞いたことがある。
(ロイ様とちゃんと話せるのは今しかないかもしれない)
エマは、ロイのほうへ向かい歩いて行った。