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エマは学園に入学した。
「あ、あの方は・・・」
エメラルドブルーの瞳で美しい銀髪の女性を見つけた。
(ロイ様の妹様だわ。確かアンリ・ローズ様よね。私の一つ上だったのね。差し入れに行ったときよくお見かけしてたわ。ロイ様の妹様・・・尊っ。美しすぎて、私なんてモブキャラは近付いてはいけないわ。私のせいで美しさをそこねてしまうわ)
謎の思考の元、アンリには近づかず、遠くからいつも見つめていた。
アンリは、エミリという奨学生の女性と一緒にいることが多かった。
(ふわふわな金髪でエメラルドグリーンの瞳でなんとお美しい・・・お2人が並ばれていると天使のよう。奨学生だなんて、なんて努力家なのでしょうか。お二人とも美しさだけではなく、知性も持ち合わせているとは・・・はぁすばらしいわ。眼福・・・)
モブキャラとして美しさを汚さないように、話しかけず、ストーカーのように、いつも勝手に観賞していた。
1年後アンリの婚約者が入学してきた。
(あの時あった王都騎士団長のご子息様だわ。あー絵になるわぁ)
しばらく見つめていると、なんとなく様子がおかしいと思い始めた。
アンリはわざとルイスとエミリを2人にしようとしているようにみえた。
思い違い?と思うも、何度もその場面を見つけてしまう。
(アンリ様、何をお考えなのかしら・・・)
その後、「平民が公爵令息をたぶらかしている」などといった噂が聞こえるようになった。
(みんなあることないこと言ってばっかりっ!アンリ様とルイス様とエミリ様を傷つけるなんて許さないわ)
イライラしながら、騎士団の鍛錬場にいつものように見学しに行くと、たたづんでいるアンリを見つけた。
(アンリ様のあの目・・・アンリ様がみてたのはルイス様ではなく・・・)
エマはアンリの気持ちを悟ってしまった。