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「今日で合同訓練は終わりなのよね。ロイ様もまだ今日はお見かけしていませんし、このままお見えにならないのかしら・・・」
木陰のベンチに腰掛けながら、エマは、はぁとため息をついた。
「あれ、ロバート伯爵令嬢?」
振り返るとそこには、ロイと黒髪で金髪の男性が立っていた。
「っロイ様、あっ失礼しましたっ!申し訳ありません。」
突然すぎて名前で読んでしまった。
(毎日毎日ロイ様ロイ様と一人でしゃべりすぎてたからだわ・・・)
エマは焦って謝罪をした。
「ロイでよいですよ。訓練中よく差し入れをもってきていただいて助かりました。
今日は会議があったのでこれから訓練に参加するところだったのです。あ、こいつは王都騎士団長のリュカ・ノアです。」
「王都騎士団長様、ロバート伯爵家のエマと申します。兄カイルがお世話になっております。」
「あぁカイルの妹君か。カイルは腕がいい。いつも期待しているよ」
「もったいないお言葉をいただき、兄に代わりお礼申し上げます。」
「では・・・」とロイとリュカが去ろうとしたとき、エマはロイを引きとめた。
「あ、あの・・・、ロイ様、本日で合同訓練は最終日と伺いました。辺境に戻ってもいつも応援しています。
あと、えっと、その・・・私も名前で呼んでいただけませんか?」
(きゃー言ってしまったわ・・・ひかれたかしら・・・)
と、いまさら後悔し始めていると、
「エマ嬢、いつも差し入れありがとうございましった。騎士の士気も上がってとても助かっていました。また、遠くないうちに合同訓練をやる予定です。また、差し入れお待ちしていますね、なんて。では訓練に入ります。」
ロイが微笑んでくれた。
ロイとリュカの後ろ姿をまたずっと見つめていた。
訓練の様子も最後まで見学した。
訓練後騎士団員と談笑するロイも見つめていた。
(ロイ様のお姿、きりっとしたお顔と笑ったお顔のギャップ、なんて尊いのでしょうか・・・神様、ロイ様のお母さま、お父様」、おじい様、おばあ様、ご先祖様、ロイ様をこの世に存在させていただきありがとうございます・・・!)
あまりにもぽーとして動かないため、マリーに注意され、自宅に帰らされた。