3/16
2
「エマってばっ!」
「あら、お兄様いついらしてたの?」
「5分くらい前だよっ。読んでもボーとして反応しないし、暑さにでもやられたのかと思って心配したぞ」
「あ、これ差し入れです。」
レモンのはちみつ漬けと冷たいレモネードをカイルに渡した。
「わざわざありがとな」
「あ、あの、お兄様、ローズ辺境伯家のロイ様とは・・・」
「あぁ、辺境騎士団団長のことか?今日は王都騎士団との合同訓練なんだ。なにかあった?」
「あの、転びそうなところを助けていただいて・・・」
「そうだったのか。俺からも改めてお礼を言っておくよ」
カイルはそう言って訓練に戻っていった。
エマはしばらく訓練のお様子を、いや、ロイのことを見つめていた。