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「大丈夫かい。転びそうだったので急に許可なく抱きとめてしまって失礼した。申し訳ない。」
ブルーの瞳の男性が頭を下げる。
ぽーと見つめてしまっていた私は急いでお礼を言った。
「助けていただきましてありがとうございました!」
「怪我がないようでなにより。騎士団に用事があるのですか。誰か呼びましょうか」
「あ、私ロバート伯爵家のエマと申します。兄のカイルに差し入れとをと思いきました。」
「カイルさんだね。今呼んできますのでお待ちください。
「・・・あっ・・あの!」
「?」
ロイは首をかしげた。
「あの・・その・・お名前をお伺いしてもよろしいっでしょうかっ!」
「あぁ失礼。私はローズ辺境伯家のロイと申します。では、おまちくださいねお嬢さん」
微笑み、カイルを呼びに行ってくれたロイの背を見つめていた。
長身で鍛えられた肉体、抱きしめられた時のやや窮屈ながらもそれを上回る心地よさ、きりっとしたブルーの瞳、きりっとまとめ上げていた金髪、古い傷跡がついた凛々しいお顔、・・・
カイルが来るまでエマはポーっとした。
「エマ?エーマー?」
いや、カイルが来てもしばらくポーっとしていた。